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2023/09/18

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スペシャルコラムドラッカー再論

第382回

専門職が成果をあげるための5つの要件。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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ドラッカーは、専門職を生産的な存在にするには、満たすべき要件が5つあると言う。

 

「(1)専門職は、あくまで専門家でなければならない。同時に、事業に対し貢献しなければならない。そして自らが現実に事業に貢献していることを知り、それが何であるかを知らなければならない。」(『現代の経営』、1954年)

 

すなわち専門職の目標は、彼らに対してマネジメント的な視点を与え、彼らの仕事と事業との関連を明らかにするものでなければならない。

 

これを実現するための方法の一つとして、ドラッカーは彼ら専門職に対して、本来の専門的な仕事の他に、事業全体のマネジメントへの参画を意味するような特別の仕事を与えることを提唱している。

 

例えば研究職を予算委員会にメンバーとして参画させる、弁理士を事業戦略会議に参画させる、などだ。
このように専門職を事業全体の活動とその問題に直接かかわらせることは、専門的な仕事をコントロールしようとするときに必ず発生する問題を避けるための唯一の方法でもある。

 

「専門職に最高の仕事をさせるための唯一の方法は、自由に仕事をさせることである。」(『現代の経営』)

 

そのためには、彼ら専門職が事業とその目標を理解し、いかなるところで、いかに最大の貢献ができるかについて自ら考えられるようにしておかなければならない。

 

「(2)専門職は、専門職としての昇進の機会をもたなければならない。」(『現代の経営』)

 

優れた専門職を経営管理者の地位に昇進させることは、極めてしばしば優れた経営管理者を得ることなく優れた専門職を失う結果となる。

 

「したがって、専門職に対し経営管理者の地位への昇進とは違った昇進の機会を用意しないかぎり、間違った選択肢しかなくなる。」(『現代の経営』)

 

必要なことは、経営管理者としての昇進の階段と並行して、専門職としての昇進の階段を設けることである。
もちろん、それらのポストへの昇進には、経営管理者としての昇進と同じ権威と重みを持たせる必要があるとドラッカーは指摘する。

 

「(3)専門職は、事業に貢献する者として、その優れた仕事や貢献について報酬面でのインセンティブを与えられなければならない。」(『現代の経営』)

 

専門職は、報酬面においても経営管理者とまったく同じ待遇を受ける必要がある。
インセンティブは、経営管理者に対するものではなく、あくまでも企業への貢献に焦点を合わせたものでなければならない。
そして専門職も経営...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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