TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「専門職」とは、何か?(マネジメントなのか、そうでないのか?)

2023/09/11

1/1ページ

スペシャルコラムドラッカー再論

第381回

「専門職」とは、何か?(マネジメントなのか、そうでないのか?)

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >

 

 

「今日、マネジメントの一角に分類されている者は現場管理者だけではない。専門職も同様にマネジメントに分類されている。しかも専門職自身が、自分たちはマネジメントであると主張する。しかし、まさにそのようなことを主張しなければならないことこそ、現場管理者と同じように専門職もまた、その仕事のあり方や待遇に問題があることを意味する。」(『現代の経営』、1954年)

 

高度専門職は戦後から長らく現在に至るまで、拡大の一途を辿っている。機械から電子、プログラミング、あるいはバイオ、各種化学、いまは言うまでもなくAIだ。
あるいは弁護士、公認会計士、心理学者や統計学者といった学術関連も高度専門職群に入る。
ドラッカーは1950年代に、そうした専門職の増加に対して、彼ら専門職をいかに組織すべきかについて悩みを多く聞かされていたそうだ。

 

「専門職はマネジメントの一角である」という主張は、専門職が一般の従業員とは違うことを強調したいためのものだとドラッカーは言う。

 

「人と仕事のマネジメントが目的とする者は、企業に働く人全員にマネジメント的視点をもたせることであり、そのための方法は彼らに責任と権限を与えることであるということが、本書の命題である。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、企業の人間は全て働く人であり、マネジメント自体が一つの独立した仕事である一方、企業の人間は全てその仕事がなんであれ、マネジメント的視点を持つことが必要だと主張する。

 

「(その上で)専門職についていうならば、彼らは経営管理者と一般従業員の双方の性格をあわせ持つ特別な存在である。われわれは専門職が何であるかを理解して初めて、彼らの仕事を適切に組織し、彼らを適切にマネジメントすることができる。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、企業が成功し繁栄するには、少なくとも3種類の人たちが必要だと述べる。
第一に「経営管理者」。第二に、熟練、未熟練の肉体労働者および事務員などの「一般従業員」。第三に「専門職」、である。

 

それでは専門職は経営管理者とどこが違うか。その違いは、一般的に言われる「他の人と共同で働くことがない」というところにあるのではないとドラッカーは言う。
実際、私たちは専門職が単独でだけでなく、チームで行う仕事もあることを認識している。

 

「専門職と経営管理者の違いは別のところにある。経営管理者は部門全体の成果について責任をもつ。したがって、当然他の人の仕事について責任をもつ。これにに対し専門職は、一人で働こうとチームで働こうと、自らの貢献について責...

こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

    この登場者の記事一覧をみる