2023/09/01
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イマ、ココ、注目社長!
第369回
「CSV(Creating Shared Value)」を軸にITの次代を創る。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 砂川 和雅氏 キャスレーホールディングス株式会社 / Casley Deep Innovations 株式会社 代表取締役CEO
キャスレーホールディングス株式会社は「CSV(Creating Shared Value=共益価値創造)」を中心理念に、4つの事業子会社を率いています。代表取締役CEOの砂川和雅氏は、複数の会社設立やM&Aを経て、現在の体制を築き上げました。CSVを軸に据えた組織づくりとはどのようなものでしょう? これまでの経験を踏まえた砂川氏の経営論を伺います。
(聞き手/井上和幸)
CSVに共感できる人材の採用が大前提。業績目標や行動基準にも組み入れる
――会社を共同設立したり、分割したり、ホールディングス体制を敷いたりと、経営者として様々な経験を経てこられた砂川さんですが、振り返ってみて、組織についてのお考えも変わってきましたか?
砂川 最初に会社を立ち上げたときの問題意識として、IT業界の過重労働をなんとかしたい、という思いがありました。人を大事にしたいという気持ちはずっと変わっていないつもりですが、それでも会社が急成長する局面では、経営優先に傾いた時期もあったかもしれません。ようやく今、人と経営の両輪をちゃんと見ることができるようになったと思います。
――採用では、やはり御社の理念に共鳴してくれることが最優先になりますか?
砂川 そこはしっかり見ますね。そうでないと、この会社はうまくいきませんから。CSVの理念を理解し、共鳴してくれる人を採用することが、まず大前提です。
入社後の人事制度には、京セラの「フィロソフィー経営」を参考にしています。業績目標や行動基準にも「社会課題の解決」を組み込んでいて、社員1人1人がそれに基づいて評価され、CSVに寄与している実感が持てる人事評価を実践しています。
――なるほど。組織づくりについてはいかがでしょう?
砂川 そもそもピラミッド型のヒエラルキーは嫌いなので「丸い組織」を構築してきました。われわれのミッションは社会課題を解決することですから、そのための議論に年齢も経験も関係ありません。メンバー同士はみんな「さん付け」で呼び合いますし、対等に意見を言い合います。自由闊達で風通しのいい企業風土づくりを心掛けています。
――「全員経営」と言えばいいのでしょうか?
砂川 近いかもしれませんね。現場が自ら意思決定してくれる。
最近の言葉でいう「DAO(Decentralized Autonomous Organization)=分散型自立組織」を目指しています。
――そのために工夫なさっていることはありますか?
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