TOP スペシャルコラムドラッカー再論 現場管理者の仕事の、本来あるべき姿を明らかにする。

2023/09/04

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スペシャルコラムドラッカー再論

第380回

現場管理者の仕事の、本来あるべき姿を明らかにする。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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現場管理者の仕事のあるべき姿とはどのようなものだろう?

 

「第一の教訓は、現場管理者の仕事は、完全に経営管理者の仕事でなければならないということである。」(『現代の経営』、1954年)

 

現場管理者は大きな責任を持たなければならないとドラッカーは言う。
実際のところ、現場管理者の仕事は、事業全体の目標から直接その目標が設定され、事業全体の成果によって直接その成果が評価されるだけの大きさのものである必要がある。

 

「第二の教訓は、現場管理者たる者は、自らの責任を果たすうえで必要な活動を自ら管理し、それらの活動に必要な部下を持たなければならないということである。」(『現代の経営』)

 

万事がうまくいっている日でさえ、現場管理者は超多忙である。

 

仕事を立派に行おうとするならば、時間の3分の1を取られるような書類への記入を行なっている暇などないのだとドラッカーは指摘する。
したがって現場管理者は、そのような仕事のための事務係を必要とする。

 

現場管理者には人に仕事を教える余裕さえない。計画を立て、作業日程を作り、部品の流れを管理し、機械や設備を維持管理するだけで手いっぱいだ。残りの時間は部下の相談に乗ってやり、部下とともに新技術や新工程に取り組み、部下に情報を伝え、新人を訓練することに取られている。
したがって現場管理者は、自らの下に指導係を一人か二人必要とする。

 

「第三の教訓は、現場管理者の権限の縮小という一般的な傾向を逆転させなければならないということである。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、現場管理者自身が雇用、推薦、解雇、訓練、昇進、配置といった人事権を持つべきだと述べる。
さもなければ現場管理者は、自らの責任を果たす上で必要な権限を欠くことになるだろう。

 

「第四の教訓は、現場管理者が率いる組織単位は、今日一般に見られるものよりも大きくしなければならないということである。」(『現代の経営』)

 

もちろん、その具体的な大きさは仕事によって違う。しかし一般的に言って、現場管理者が率いる組織単位は、今日の2倍、3倍にする必要があるとドラッカーは指摘する。
そうすることによって初めて、現場管理者はマネジメントに対して、働く人を代表しうるだけの地位にあることになる。同時に、部下を管理しすぎることもなくなる。目標を設定させ、配置し、訓練し、仕事を計画的に組織することによって、彼らをマネジメントするようになる。

 

「このように、現場管理者が本当の経営管理...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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