2023/08/09
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イマ、ココ、注目社長!
第365回
CO2排出量可視化サービスで急成長。日本発のクライメートテック。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 山崎 冬馬氏 e-dash株式会社 代表取締役社長
2022年2月創業のスタートアップ、e-dash株式会社が手掛ける CO2排出量可視化サービスが急速に伸びています。同年4月の有償版のリリース以降、すでに4,500を超える拠点で導入されています。
三井物産株式会社からスピンアウトした同社を率いるのは、山崎冬馬さん。
後編では事業拡大の過程だけではなく、会社員から大きく立場が変わるなかで経営者としてどのようなインプットを意識し、どのようなマネジメントをしてきたのかを尋ねました。
(聞き手/川内 イオ)
金融機関と連携し、中小企業への導入拡大
――2021年10月、エネルギー関連の請求書をスキャンしてサイトにアップするとCO2排出量が可視化されるというサービスのベータ版をリリースしています。反響はいかがでしたか?
山崎 ベータ版は数カ月でつくり上げました。無料のトライアルで、使ってみてフィードバックくださいという形で始めたところ、使いたいというリクエストが非常に多く、実際に使ってもらうと「こんなに手間のかかっていたことが、こんなに楽になるんだ」など数多くのフィードバックをいただきました。ベータ版の時点でかなりの数のお客さんを獲得できたこともあり、これを事業化しようと判断し、三井物産からスピンアウトする形で2022年2月にe-dashを立ち上げました。最終的に、ベータ版は半年で約50社、約1,400拠点で利用されました。
――半年で約50社、約1,400拠点導入はすごいペースですね。なぜ、スピンアウトすることになったのでしょう?
山崎 理由はふたつあります。急成長を目指すスタートアップとして意思決定のスピードが重要なので、会社の外でやろうというのがひとつ。もうひとつは、新しい領域で異なる能力を持った専門家が化学反応を起こして価値を提供していくために、その受け皿としても個別の会社の方がやりやすいということです。
――2022年4月に有償版をローンチして、1年半が経ちました。手応えはありますか?
山崎 はい、大きな手応えを感じています。いま現在4,500を超える拠点で導入されていて、その原動力となっているのが、金融機関との連携です。150以上の金融機関とパートナー契約を結び、その金融機関の取引先にどんどん紹介してもらっています。
――金融機関と提携するメリットを教えてください。
山崎 大企業がCO2排出量をガクンと減らせば効果は高まります。でも、日本社会を見渡した時に、専門の部署や専門の人材がいない中小企業にも、重要な最初の一歩である排...
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