2023/05/19
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イマ、ココ、注目社長!
第341回
在宅医療をDX。全国約20万人の在宅療養患者を支える訪問看護の業務支援サービス【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 中野 剛人氏 株式会社 eWeLL 代表取締役社長
2022年9月、訪問看護ステーション向け業務支援SaaS「iBow(アイボウ)」等の開発、サービス提供を手掛ける株式会社eWeLL(イーウェル)が東証グロース市場に上場しました。
同社を率いるのは、元プロジェットスキー選手で二度世界2位となった異色の経歴を持つ中野剛人さん。
後編では、「iBow」を発案してから事業化するまでの道のり、独特の料金体系やいかに導入件数を増やしていったのかなどの舞台裏を語ってもらいました。
(聞き手/川内 イオ)
システム開発の基準は「素人の私でも簡単に使えるかどうか」
――訪問看護をしている看護師が1件の書類を作成するのに40分から45分もかけていると聞いたのが、現在の事業クラウド型訪問看護ステーション向け業務支援SaaS「iBow」の開発につながったんですね。
中野 はい。もともとプロジェットスキー選手時代に私のスポンサーをしていただいていたご縁で、訪問看護事業を手掛けているN・フィールド様に提案にいったところ、やはり手書きの書類は負担が大きいので、電子カルテなどのシステムによる効率化が必要だと言われました。その時に、従来のレセコンのような使い勝手の悪いモノになっては意味がないので、看護師目線で「誰でも簡単に使えるシステム」を作ると伝えました。ただ、当社には開発資金がなかったので、そのサポートをしてほしいという話をして、合意を得ました。
――N・フィールドさんから資金を得て開発がスタートしたんですね。中野さんはITやシステム開発のご経験はあったんですか?
中野 いえ、全くありません。起業してすぐに入社したメンバーが関西の大手病院のシステムのリプレイスを手掛けていて、技術者というよりはプロジェクトマネジメントをしっかりとできる人間だったので、細かいところは彼女に託しました。ただ、開発者にすべて任せると偏ったものができてしまう危険性があるので、「ITに詳しくない私でも簡単に使えるかどうか」を基準にしました(笑)。
最終的に、利用者情報の管理、訪問記録など各種公的帳票の作成、服薬管理などをPCやタブレットを使ってボタン選択式の簡単な操作でできるようにするまで3年かかりましたね。
現場で導入してもらうために自ら営業
――新しいシステムを現場で使ってもらうのは、とても難しいように感じます。どのように導入数を増やしていったのですか?
中野 導入の決定権を持っているのは看護師さんとは限らなくて、病院の理事長や病院の経営者の場合もあります。ただ、私は現場の看護師さんに納得してもらえるかどうかがポイントだなと思っていました。私は営業が得...
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