2023/03/28
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私が経営者になった日
第112回
【嘉穂無線ホールディングス株式会社 柳瀬 隆志氏】「社長の息子」というだけで社長になることは心配だった。(Vol.1)
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- 経営者インタビュー
- 柳瀬 隆志氏 嘉穂無線ホールディングス株式会社 代表取締役社長 株式会社グッデイ 代表取締役社長 株式会社カホエンタープライズ 代表取締役社長
社長に任命された日=経営者になった日ではありません。経営者がご自身で「経営者」になったと感じたのは、どんな決断、あるいは経験をした時なのか。何に動かされ、自分が経営者であるという自覚や自信を持ったのでしょうか。
福岡県を中心に北部九州・山口で64店舗を展開するホームセンターのグッデイを中核事業として、可視化されたデータ分析による店舗運営、経営の実現で、売上を5年で26%もUP。2022日本DX大賞を受賞した「データドリブン経営」を推進する嘉穂無線ホールディングス株式会社 代表取締役社長 柳瀬隆志氏に3回にわたってお話をうかがってみました。
「社長の息子」というだけで社長になることは心配だった。(Vol.1)
ぶれない自分軸を再確認して経営に生かす。(Vol.2)
データ可視化の環境と活用できる人材育成で「データドリブンな経営」を。(Vol.3)
ボート部で学んだ人間関係。
子どものときから、社長になる“かも”とは何となく思っていた。
「わたしは3代目になりますが、ビジネスマンとして使いものにならないのに社長の息子として入るのは、とても良くないなということを一番心配していました。そこで父と同じか、同等以上には自分も頑張らなければと思い、東大を目指しました。大学では運動をしようと思っていたのですが、未経験者で日本一を目指せそうなところが、父と同様にボート部でした。」
ボート部では3年生でエースポジションであるストロークを任された。ストロークは、チームのペースメーカーであり、戦略的にここで勝負というときにはペースを上げてリードをしなければならない。舟の上でのリーダーシップを取る役目が求められるポジションだ。
「ボート競技には人間関係がすごく影響します。8人が同じ舟に乗って同じ動きをして漕がなければならず、究極のチームスポーツに近い。しかも球技などとは違い、個人技みたいな見せ場が全く何もない。
競技自体、基本的に楽しくないのですが、きつい練習を一緒に耐えて、日本一という目標を目指して集結している団体なので、お互いメンタルも含めすごくちゃんと見ている。さらに合宿生活なので、性格や本当にきついときにどう行動するのとか、めちゃくちゃよく見えました。それまでわたしは友だちがいても、そんなに腹を割って人と話をするみたいなことはあまりなかった。でもボート部では本音をぶつけあって、嫌なことも言わなきゃいけないですし、相手を選べません。そういう意味でも、人間関係の勉強にはなりました。先輩をはじめ、メンタルも強く社会的に成功するようなすごい人材が多い中で、リーダーシップを取れた経験は、その後の自分の血にはなったと思います。」
若い時から仕事を任せてもらえる商社に就職。
新卒の段階では家業を継ぐことは全く考えていなかった。一方で、会社を継ぐために、ひょっとしたら10年ぐらいで辞めるかもしれないという気持ちはどこかにあったのだろう。若い...
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