TOP とことん観察マーケティング 新しいジャンルにふれることで、できるかけ算が増える

2023/03/02

1/1ページ

とことん観察マーケティング

第83回

新しいジャンルにふれることで、できるかけ算が増える

  • マーケティング

野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。

 

多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。

 

83回目のコラムです。今回は、顧問先で、わたしがいままでに携わってきた業界でない企業からうれしいニュースが届きましたので、そちらを記していきます。その業界は、TCG(トレーディングカードゲーム)とeスポーツです。どちらも低年齢層が主軸となっている業界で、わたしにとってもチャレンジングな業界です。

 

トレーディングカードゲーム専門店「Japan TCG Center」

昨年の8月まで11年間ブックオフグループホールディングス株式会社の社外取締役を務めさせていただきました。社外取締役は独立性が大事ということで長く務めると監視という役割でなくなるということで退任しましたが、これから大きくなるマーケットのトレーディングカードゲームの領域の顧問として役割をいただいています。

 

スペースチャンスという大阪でシェアの高いトレーディングカードゲーム専門店と、ブックオフが合弁会社をつくって、吉祥寺にJapan TCG Centerというトレーディングカードゲームの専門店をオープンしました。大きなブックオフ吉祥寺店の地下1階です。ブックオフそのものの中でもトレーディングカードゲームは非常に伸びている商材です。ただし、専門性がないので、カスタマーの気持ちのわかる展示や販売やイベント開催が課題です。

 

一方で、スペースチャンス社にとっては、東京というトレーディングカードゲームの激戦地での戦い方を学ぶよい機会です。ここで顧問として始めたことは、おそらく分かったつもりになっているカスタマーって本当はどういう人か、なぜ来てくれるのか、なぜたくさん買ってくれるのか、なぜ来ないのか、彼らにとってイベントとはどういうものであるのか・・・これを明らかにしよう、そうすればカスタマーがわざわざ来る理由を創ることができるという作戦会議です。

 

3回ほどの戦略会議を経て、ついに12月には、過去最高売上となったと報告がありました。年末効果と思いきや1月にさらに大きな売り上げを記録しています。わかっているつもりを、再確認してスピード感をもって打ち手を試した結果です。「カスタマーを知る」は「数字が出る」ということです。そしてなによりも会議メンバーがいきいきとカスタマーのことが語れることが大きいと感じます。そして、さすが専門店、スペースチャンスのカスタマー理解、そして自分自身がヘビーユーザーの象徴のような方の存在であるがゆえの...

こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。

プロフィール

  • 野林 徳行氏

    野林 徳行氏

    有限会社オフィスフレンジー 代表

    1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1987年リクルート入社。経営企画、事業戦略、商品企画、プロモーションプランニングなどを担当し、カスタマーを知ることに徹底的にこだわった行動で各事業の業績向上に寄与。ブックオフコーポレーションへの出向を経て、2003年ローソン入社。執行役員としてマーケティング、エンタテイメント、商品開発を担当し、数々のヒット企画を生み出した。2010年ローソンエンターメディア代表取締役社長に就任。2012年レッグス入社。CMOとしてキャラクターを活用した販売促進を強化。2016年FiNC CMO就任。人工知能を活用したヘルスケアアプリのマーケティングを推進。現在は、有限会社オフィスフレンジー代表、高木学園理事兼英理女子学院高等学校マーケティング講師、NewsTV取締役、4DT取締役、ログノート監査役。さらに、ブックオフグループホールディングス、聡研プランニング、ニューネックス、助成金制度推進センター、メローネと多岐にわたる業種で顧問を務める。著書「とことん観察マーケティング」をベースにした講演・研修を実施中。

    この登場者の記事一覧をみる