2023/02/17
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イマ、ココ、注目社長!
第310回
フリーランスの力で、日本企業のイノベーションを後押しする。【前編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 岩井 エリカ氏 株式会社ソレクティブ CEO
米国企業でHRの中核を担った経験から、日本企業の組織のあり方に課題を感じたという岩井エリカ氏。「フリーランスの専門性を活かしたスピーディーで柔軟な組織づくりこそが、イノベーションを促進する」と語ります。2020年1月に創業した株式会社ソレクティブは、フリーランスのための完全審査制マッチングプラットフォームとフリーランスがより効率良く活躍できるように、彼らのためのバックオフィスツールを提供しています。
岩井氏は、異色の経歴の持ち主です。わずか9歳で単身渡英し、Imperial College Londonで工学修士を取得、帰国後は住友電気工業でエンジニアとしてキャリアをスタートしました。研究開発からHR業務に関心を移し、起業に至った動機は何だったのでしょうか。その道のりには、実は一本筋が通っています。
(聞き手/井上 和幸)
大学から企業に移り、研究開発におけるチームの重要性を知る
ーー岩井さんの多彩なバックグラウンドを掘り下げていたら時間が足りなくなりそうなので(笑)、今日は主には社会に出られてからのキャリアに絞って伺います。まず、英国の大学院を卒業されて最初の就職先に、日本の老舗企業である住友電気工業を選んだのは、どんな理由だったんですか?
岩井 長く海外にいたからこそ、日本の企業に勤めようと思いました。1つには、海外で培ったエンジニアとしての知見が日本のトップメーカーの研究開発に役立つか試したかったこと。もう1つは、長く離れていた家族の近くで暮らしたいという思いでした。だから、出身地である関西に拠点を置く住友電気工業に決めたんです。
ーー歴史ある日系大手企業ですから、さぞかしお堅い社風ではないかと想像してしまいますが、実際はいかがでしたか?
岩井 もちろん、カルチャーショックはありました。私は日本人ですが、日本から離れていた期間が長く、学校で日本語を学んだ経験もほとんどありませんでしたから。大企業に入ってよかったのは、新人教育が充実していて、社会人としての基本的なマナーから教えてもらえたことです。週報や月報を書くことで、日本語力もだいぶ鍛えられたと思います。
開発者としても、立場にかかわらず自由に意見を交わせる環境が整っていました。大学機関にいたときの研究は孤独な作業でしたが、メーカーではチームを組んで研究を進める。チームで研究するとはどういうことかを実感できる、とてもいい経験でした。
ーーその経験が人事という職種への関心につながったんですよね。
岩井 研究も、1人でやっていると行...
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