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2023/02/09

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とことん観察マーケティング

第82回

ひさしぶりにコンビニエンスストアを考える相談がありました

  • マーケティング

野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。

 

多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。

 

82回目のコラムです。コンビニエンスストアへの提案をしたい方からご相談を受けました。ローソンでの経験からブレストしたのですが、やはりコンビニエンスストアのマーケティングは圧倒的におもしろいですね。

 

コンビニエンスストアはフランチャイズモデル

わたしが顧問をしているブックオフは、直営店とフランチャイズ店が半分ずつ。直営店が運営の見本となってフランチャイズ店に伝授する仕組みです。また最近は、ブックオフスーパーバザーという大きな、そしていろいろな商品をリサイクルする展開が増えていますが、投資が大きいため、こちらは直営の役割となっています。この大きな店舗から抽出されたノウハウをフランチャイズ店に流用していきます。

 

これに比べるとコンビニエンスストアは97%程度がフランチャイズ店。ディストリクトにある1店舗が模範店として存在し、スーパーバイザーという指導員が店舗の上にあるオフィスにいるというケースが多いです。なので、フランチャイズオーナーが儲かるように指導できないといけません。問題になっている食品ロスについても、売り切れていれば起こらないのですが、売り切れ寸前の棚に来たお客様はがっかりしますし、帰ってしまうので売上があがりません。このせめぎあいで、本部と加盟店でもしばしばトラブルになります。昔は禁止であった賞味期限が迫ってきた商品の値引きが許されるようになってきましたね。ローソンの自慢のスイーツ10商品が実験的にこの運用をはじめました。
いずれにしても、フランチャイズオーナーに戦術を十分理解してもらわないといけない形態です。

 

コンビニエンスストアに求められるSDGs対応

もはや企業は、SDGsをどう実現しているのか、目標を持ち成果を公表しなければならなくなってきました。全国的に牛乳が余るならばホットミルク半額などの対策で生乳の消費をあげる、インクカートリッジの回収ボックスをつくる、緑の基金という募金箱を運用するなど、小さなことでも1万店、2万店あれば大きな貢献ができます。以前はマルチメディア端末のLoppiで、マイ箸を販売したり、CO2排出券を販売したりしたこともあります。そのころよりも直近はインフラであるコンビニエンスストアに求められるものは大きくなります。

 

便利を追求すると、やることが増えていく

コンビニエンスストアでは、外国人の方がレジにいるケースが増えてきました。最初は酒屋やたばこ屋、乾物屋、日用品店に近かった店が、弁当やおにぎり、麺類、サンドイッチ、デザート...

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プロフィール

  • 野林 徳行氏

    野林 徳行氏

    有限会社オフィスフレンジー 代表

    1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1987年リクルート入社。経営企画、事業戦略、商品企画、プロモーションプランニングなどを担当し、カスタマーを知ることに徹底的にこだわった行動で各事業の業績向上に寄与。ブックオフコーポレーションへの出向を経て、2003年ローソン入社。執行役員としてマーケティング、エンタテイメント、商品開発を担当し、数々のヒット企画を生み出した。2010年ローソンエンターメディア代表取締役社長に就任。2012年レッグス入社。CMOとしてキャラクターを活用した販売促進を強化。2016年FiNC CMO就任。人工知能を活用したヘルスケアアプリのマーケティングを推進。現在は、有限会社オフィスフレンジー代表、高木学園理事兼英理女子学院高等学校マーケティング講師、NewsTV取締役、4DT取締役、ログノート監査役。さらに、ブックオフグループホールディングス、聡研プランニング、ニューネックス、助成金制度推進センター、メローネと多岐にわたる業種で顧問を務める。著書「とことん観察マーケティング」をベースにした講演・研修を実施中。

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