2023/02/01
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第164回
部下につい「自分の頭で考えろ」と言ってしまっていませんか? 元BCGの著者が明かす、本当の意味で「自分の頭で考える」方法/「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術
- ビジネススキル
- 組織
- 経営
- 白戸 翔氏 ニューコンテクスト 代表取締役
成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」では、成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』。本書の編集を手掛けられた、ニューコンテクストの白戸翔氏に見どころを伺いました。
日本人なら誰もが知っている「桃太郎」。
さて、この桃太郎という物語からはどのような示唆なり教訓なりが読み取れるでしょうか。
先にいっておくと、ここに正解はありません。読んだ人の数だけ答えがあるとも言えますし、そもそも答えなどないとも言えます。
この「答えがない」という状態は、ビジネスの現場に置き換えても当てはまるシーンが多いでしょう。
では、「その答えがない」課題を解決するために私たちは、どのような思考で臨んでいけば良いのかを改めて問われると、なかなか言葉にするのが難しく、特に経験の浅い部下などにその大切さを伝えようとするときには、「自分の頭で考えることが大事だ」といった紋切り型の回答で済ませてしまいがちです。
「自分の頭で考える」は技術で補える
この「自分の頭で考えるための方法」について具体的に解説しているのが本書です。ビジネスそのものを「答えのないゲーム」と捉え、その「答えのないゲーム」に対して、どのような考え方で挑めば良いのかを、あらゆる仕掛けで体得できるようにまとめています。
例えば冒頭の「桃太郎」からどんな示唆を汲み取るか?というお題もその一つです(第2章 示唆)。他には、とある一部の情報のみが判明している実在のカードゲームのルールを当てるというワーク(第4章 ゲーム&ゲーム)などを使いながら、「答えのないゲーム」における思考法を伝えていきます。
前者の「桃太郎」を使ったワークの場合、著者はここに「3構造(〝スリーこうぞう〟と読みます)」という1つの思考法を示します。
「3構造」をざっくり解説すると、サマリーする、つまり目の前にある事実だったり、今回の場合は桃太郎という物語だったりを3つの事柄にまとめる作業のことを指します。例として桃太郎を3構造でまとめると、
①桃から生まれた桃太郎は、
②犬・猿・雉を仲間にし、
③鬼を退治した。
というふうになったとしましょう。そして、ここから得られる示唆は何かを考えるのです。仮にここからは、「大きなことを成すには仲間が必要だ」といった示唆を得たとします。
また桃太郎を別の3構造に変えてみます。
①桃から生まれた桃太郎は、
②おばあさんの作ったきび団子で
③犬・猿・雉を仲間にした。
すると、ここから得られる示唆が最初のものとは変わってきます。
ストレートに考えると「仲間を得るには対価が必要だ」という示唆が得られそうです。
(さすがに幼い子どもも触れる童話の示唆としては不適切かもしれませんが……)
このように、1つの物語でも捉え方次第で導き出せる示唆が変わってくる、答えはいく...
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