2023/01/24
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戦略人事の仕掛人
第26回
社員が幸せに働くことが、企業価値の向上につながる仕組みをつくりたい。【前編】
- 組織
2016年設立の住宅ローンテックベンチャー、iYell株式会社の企業紹介動画は、一風変わっている。そこでは「何をしている会社か」ということは一切説明されず、社員が口々に「会社に行きたくなる」「友だちがいっぱい出来る」と働く楽しさを語るのだ。創業者・窪田光洋氏が掲げる企業理念「何をするかより誰とするか」をまっすぐに表現している。
2019年に大手生命保険会社の営業管理職からiYellの人事責任者に転身した伊東拓真さんは、「官房長官」という肩書きを持っている。CEO窪田氏の理念や経営スタイルに深く共感し理解し、社内外に広める役割だ。2022年には執行役員CHROに就任し、同社の上場に向けて、最優先事項と目される人事施策の再構築に取り組む。伊東さんの一貫したマネジメント哲学と、iYellで仕掛けるユニークな施策を聞いた。
(聞き手/井上 和幸)
大手生保で最年少の営業管理職に就き、マネジメントの実績を上げる
井上 伊東さんは新卒で大手生命保険会社に入り、将来を嘱望されていたにもかかわらず、約10年後にスタートアップのiYellに転身なさいました。その経緯が興味をそそりますね。順を追って伺っていきたいと思います。まず、新卒時はなぜ生保を選んだんですか?
伊東 1つには、金融業界に関心があったこと。両親がともに金融関係に勤めていたので、その影響が大きかったのかもしれません。もう1つは、当時は、給与も福利厚生も担保された大手企業に勤めたいと考えていたからです。振り返れば、自分に自信がなかったんですね。大きな会社にいたほうが安心して働けると思ったんでしょう。
井上 それで、最大手の明治安田生命保険に入社なさった。希望すれば誰でも入れるというものでもないと思いますが。職種も希望通りだったんですか?
伊東 総合職だったので、事務も営業も経験しました。最初の1年半は営業拠点のスタッフワーク、次の半年は営業研修でした。自ら営業目標を立てて達成するというもので、その経験で、自分は営業に向いているなと思ったんです。加えて、大企業で勝ち上がるにはメインストリームである営業で勝負するしかない、とも考えていました。営業を志望して、最初に配属されたのが全国約1,000拠点を束ねる本社の営業企画・マネジメント企画でした。
井上 まず全体を見るところから始まったわけですね。
伊東 2年間本社にいて、そのあと現場の営業所長(営業管理職)になりました。当時、最年少の営業管理職でした。それが5年目から8年目...
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