2023/01/18
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第161回
言葉のセンス=教養×状況を切り取る能力/教養のある人がしている、言葉選びの作法
- ビジネススキル
- 組織
- 経営
- 岩川 実加氏 株式会社ぱる出版 編集部
成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」では、成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『教養のある人がしている、言葉選びの作法』。本書の編集を手掛けられた、株式会社ぱる出版 岩川実加氏に見どころを伺いました。
言葉のセンスは、生まれつきのものではない。誰にでも習得可能なものである――
そう語るのは、言葉のプロで、『教養のある人がしている、言葉選びの作法』の著者、齋藤孝先生。
SNS全盛の現在、誰もが持つ願いといえば、「センスのある言葉を発信したい」。しかし同時に、「言葉のセンス」といえば、生まれつきのもののように感じられ、あきらめてしまいがちでもある。ところが、齋藤先生によると、言葉のセンスはトレーニングによって身につけられるという。言葉は学習によって後天的に獲得していくものなので、言葉のセンスもまた学習の集積だというのが、その理由だ。
本書は、「センスがある」「一味違う」と思われる言葉の正体を丁寧に解きほぐし、その習得の仕方を解説していただくものである。ここでは、そのエッセンスを紹介したい。
まず、「センスがある」「一味違う」言葉であるという評価は、どう決まるか。それは、目の前の事柄、状況に対して的確な表現であるかどうかで判断される。つまり、「センスの良い言葉」と「センスの悪い言葉」が絶対的に存在しているわけではないのである。したがって、状況を切り取る能力と現代的な感覚・常識を身につける必要がある。
また、古典などには、まさしく今目の前の状況に当てはまる表現も決して少なくないことから、教養を身につけることも不可欠である。そこで、言葉をセレクトする際には、時代と教養という座標軸を定めて考えてみるといいという。第一が「時代に合っていて、教養もある」という理想的なゾーン。第二が「教養はあるが、時代に合っていない」というゾーン。第三が「教養はないが、時代に合っている」というゾーン。第四が「教養もなく、時代にも合っていない」というゾーン。第四の言葉選びは避けたいもの。
つまり、センスのある言葉を発信するには、現代的な感覚・常識に教養を加えてベースとし、さまざまなシーンや状況を切り取る能力を磨く必要があるのだ。そこで、本書では、「言葉のセンス」を「教養×状況を切り取る能力」と定義する。それぞれの習得法については次の通りである。
「教養」については、語彙力・構文・知識がベースとなり、やはり文学作品に触れることが有効である。まずは、語彙力。たとえば、太宰治の『津軽』冒頭には七つの雪が列挙され、一口に雪と言ってもさまざまな種類があることを知ることができる。次に、構文。近松門左衛門の『曽根崎心中』では日本語独特のリズムである七五調を、『論語』では反語や対句といった漢文調を、再発見することができる。最後に、知識。『枕草子』で描かれる清少納言の機転や、『徒然草』で兼好法師によって語られる真理に触れるうちに、身についていくはずである。
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