機能別組織に連邦型組織を導入することの必要性、意義。
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井上 和幸
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
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連邦型組織には、当然のことながら、その適用には限界がある。
例えば小売業のように、店舗が独立的に経営できるような形態には連邦型組織は適用できるが、鉄道会社などインフラビジネスでは全体が大きなひとつの事業として運営される以上、連邦型組織は適さない。
ただし、機能別組織であっても連邦型組織の運営に近づければ近づけるほど、成果をあげるようになるとドラッカーは言う。いわゆる京セラのアメーバー経営だ。
「連邦型組織に馴染まない機能別の活動も、各単位組織の長に最大限の責任と権限を与えるよう組織しなければならない。そして、可能なかぎり、独立した製品やサービスがある場合と同じように組織しなければならない。さもなければ、機能別部門の経営管理者は、事業全体の目標に基づく目標や測定の尺度をもつことができない。人事管理の専門職、あるいはエンジニアリングの専門職としての目標しか設定できないことになる。あるいは、自らの成果を、事業の成功に対する貢献ではなく専門的なスキルによってしか評価できないことになる。」(『現代の経営』、1954年)
このように、ドラッカーは機能別の活動においても分権化が最善の組織方法だと述べている。
特にオートメーション~いまの表現で言えば「DX」化された生産部門において、分権化は最善というよりも不可欠というべき組織方法だと断言する。なぜならDX化された生産部門は、情報と意思決定のセンターの連鎖として組織される必要があるからだ。
「規格化した部品の大量生産と製品の組み立てという、新型の大量生産やプロセス生産を採用しているメーカーでは、生産部門以外の部門でも情報と意思決定のセンターを無数につくることが必要となる。なぜならば、そのようなメーカーでは、製品の設計のあとで工程の段取りを行い、そののち営業部門が販売にとりかかるというようには、仕事が進まないからである。マーケティング、生産、エンジニアリングが、最初から一つのチームとして仕事に取り組まなければならない。これがタスクフォースである。ということは、最大限の情報をもち、最大限の意思決定の権限を与えられ、最大限の視野をもつ単位組織が必要とされるということである。」(『現代の経営』)
分権化された機能別の単位組織を可能な限り小さな規模にするとともに、可能な限り広い活動領域を持たせるには、マネジメントの階層を少なくする必要がある。
理想的には、機能別単位組織の長は事業部長の直属直下としなければならない。両者の間には、せいぜい1階層を置くだけに留めなければならない。...