2022/12/08
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戦略人事の仕掛人
第22回
会社の価値が大きくなれば人も社会も元気になる。そこに貢献するのがCHROの役割【前編】
- 組織
トラベルテックを掲げる株式会社令和トラベルが誕生したのは2021年4月のこと。コロナ禍でもっともダメージを受けている旅行業界の新星がそのまっただ中に誕生したことだけではなく、業界不況もどこ吹く風でユニークな人材の獲得に次々と成功していることでも注目が集まっていた。
創業期からCHROをおき、人材戦略を重視しているというメッセージを発信し続けて来た令和トラベル。今回の「戦略人事の仕掛け人」は、その気になるCHROご本人・田村博司さんにご登場いただく。前編では、新卒で入社したリクルートで、HR領域が自身の“Will”であると確信していくまでの過程を中心にお伝えする。
(聞き手/井上 和幸)
研究テーマを手放しゼロベースの“やりたいこと探し”へ
大学院時代の研究分野は交通工学。卒業後は、国土交通省や地方自治体の都市整備部、NEXCOなどの道路管理会社へと所属するのが王道だ。道路調査から工事、完成…という道のりを経て、世の中にその道路の価値が認識されるまで長い時間を要するが、“地図に残る仕事”というスケール感を考えれば、十分にやりがいも感じられることだろう。
ただ、田村さんは考えてしまった。それが“自分の仕事”となったとき、「一生もの」と思うことができるだろうか?もちろん、この研究自体には高い価値を感じていたし研究時代のおもしろみもあったが、「手触り感のある仕事」を求めていた田村さんのなかに生まれた答えは緩やかなNOだった。
では、何をするのか?
ファーストキャリアにリクルートを選んだのは、シンプルにいえばそれを探すため。自ら意思決定することの重要性、“世の中の不を解消する”という価値観への共感、そして、ついに“やりたいこと”が定まれば、自ら旗を立てて周囲を次々に巻き込んでいくことができるカルチャーに魅力を感じたという。
「この会社で働いていれば、本当にやりたいことが見つかったときに、恐らくそれが最も自分に近いところにあるのではないか?」 そう思えたと田村さんは話す。
井上 ただ、交通工学を専攻していたそれまでとは、ある意味まったく違う道を選んだことになりますよね。おそらくそこにいる人種も真逆のキャラクター。そのあたり、ご自身の選択に迷いなどはなかったのですか?
田村 やりたいこと探しのために入社した当時の僕は、リクルート的に言えば「Willがない」状態ですよね。でも、ある日それを口にしたらものすごく怒られた。「そんなことは言うものじゃない。Wi...
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