2022/11/09
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イマ、ココ、注目社長!
第286回
データサイエンスで成果にコミット。マーケティングに変革を。【前編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 平尾 喜昭氏 株式会社サイカ 代表取締役 CEO
株式会社サイカは、平尾喜昭氏が2012年に設立したデータサイエンスカンパニーです。起業のきっかけは、平尾さんが慶應義塾大学在学中に、統計学の授業で父親の勤務先の倒産をケーススタディとして学んだことでした。それに衝撃を受けた平尾さんは、統計分析のソリューションがあれば「倒産を防げたのではないか」と考えたのです。
創業の翌年、平尾さんはデータ分析の民主化を掲げて、専門家でなくても使える分析ツールをリリース。その後も、ユーザーのニーズに応えたプロダクトを次々と開発し、同社は《プロダクトを武器にしたコンサルティング》で大きな強みを発揮しています。2022年には、「BMC(ボーダレスマーケティングコミュニティ)」を発足。平尾さんはそのねらいを、「マーケティング業界の分断をなくして、真に最適化されたマーケティングを実現していくため」と話しています。
(聞き手/井上和幸)
統計分析の授業で、倒産した父親の勤め先が分析対象に
――事前にうかがったプロフィールによれば、平尾さんは本気でプロのバンドマンをめざす一方で、大学の授業で統計分析に出会ったことで起業を決めたそうですね。在学中から準備されていたのですか?
平尾 いいえ。僕は大学卒業の2か月前に起業したのですが、そもそも音楽で食べていくことしか考えていませんでした。
起業に向かうきっかけとなったのは、いま、弊社の社外役員をしていただいている竹中平蔵先生のゼミに入ったことです。ただし、竹中ゼミには起業ではなく、音楽理由で入ったのですが(笑)。
――ユニークですよね。音楽が理由で竹中ゼミに入るというのは(笑)。
平尾 時を少しさかのぼってお話したいと思います。僕の人生の原体験は中学生のときに父の勤め先の百貨店が倒産したことでした。
以来、「どうしようもない悲しみをなくしたい」という思いでバンド活動をずっとやってきました。大学に入ったのも音楽家としてやっていくためのマネジメントをきちんと学ぼうと思ったからです。
運よく、在学中に韓国で音楽活動ができるようになったのですが、そこで日本と韓国のお客さんの違いに気づきました。音楽で仕事をしていくならば、やはり両国の政治経済の成り立ちや違いをきちんと学ばなければいけない――。それが竹中ゼミの門を叩いた理由です。
「世界一のミュージシャンになる」と言ってゼミに入ったのですから、わけがわからないですよね(笑)。
――いえいえ、そんなことはないと思います。
平尾 竹中ゼミで勉強をする中で、あるとき《不良...
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