TOP スペシャルコラムドラッカー再論 経営管理者の育成において、間違った対象に焦点を当てているという事実。

2022/11/07

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スペシャルコラムドラッカー再論

第340回

経営管理者の育成において、間違った対象に焦点を当てているという事実。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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ドラッカーは、企業の繁栄は明日の経営管理者(経営幹部)の仕事ぶりにかかっている。特に事業上の意思決定が実を結ぶまでの時間が長くなっているいま、未来を予測することはできない以上、現在の意思決定をフォローしてくれる者=明日の経営管理者を選び、育成し、その能力を試しておかない限り、合理的かつ責任ある意思決定をおこなったことにはならないのだ、と述べている。

 

「マネジメントが複雑化している。技術の急速な変化が、日々の競争を激しくかつ厳しいものにしている。これに加えて、諸々の新しい関係、すなわち政府、取引先、顧客、従業員、労働組合との関係を扱うためにも、優れた経営管理者が必要となっている。」(『現代の経営』、1954年)

 

必要とされる経営管理者の数は着実に増加していき、経営管理者の育成は企業が社会に対する責任を果たす上で必須のことであるとドラッカーは言う。

 

「もし企業が自らその責任を果たさなければ、社会がそれを強制する。今日、企業の存続は社会にとって決定的に重要だからである。社会は、今日のマネジメントを引き継ぐべき有能な後継者の欠如のために、富を生むべき資源が危機に瀕するなどということを放置できないし、放置するはずもない。」(『現代の経営』)

 

経営管理者の育成とは、仕事や産業を生計の手段以上のものにするという、マネジメントに課された責任の遂行そのものだとドラッカーは述べる。

 

「すなわち企業は、一人ひとりの経営管理者に対し、彼らの能力を完全に発揮することのできる挑戦の機会を与え、そうすることによって、産業における仕事を一つの生き方にまで高めるという、社会的な責任を果たさなければならない。」(『現代の経営』)

 

では、経営管理者の育成とは、いかなるものなのか。いかなるものであるべきなのか?

 

ドラッカーは、経営管理者の育成とは、トップマネジメントの後任候補として昇進させうる人物を対象とする昇進プログラムのことではない、と釘を刺す。

 

「公認候補という言葉は、経営管理者の仕事や組織の構造が不変であって、今日のトップマネジメントの靴をそのまま履ける人間を探せばよいとする考えを表している。しかし、もし一つだけ確かなことがあるとすれば、仕事が要求するものや組織の構造は、これまでと同様、明日においても大きく変化していくということである。したがって必要とされていることは、昨日の仕事ではなく明日の仕事のための経営管理者を育成することである。」(『現代の経営』)

 

ここでドラッカーは、ちょっと興味深いことを言っている。ト...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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