2022/10/14
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敏腕キャピタリストの着眼点
第33回
めざすは100兆の企業群。1社では成し得ない目標に挑み、より良い世界を作りたい。【前編】
- 経営
- 組織
- 吉村 英毅氏 株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー 株式会社BuySell Technologies取締役会長
株式会社ミダスキャピタル(代表パートナー:吉村英毅氏)は、2017年に創業したプライベートエクイティファンド(PE)だ。非常に特徴的なのは、①PEファンドという形は取りつつも外部資本は集めず、原則、出資メンバーは完全内部に限定していること、②実質的なファンドの期限が来ないため中長期目線でリターンの最大化を追求できること、③大企業の優秀なビジネスパーソンや起業家・実業家が多く参画していること――などである。
それぞれの発行体は完全に独立したマネジメントメンバーで経営されているが、それぞれが価値最大化をめざしていくと同時に深い相互扶助を行う。これによって、日本発の世界に冠たる企業群――具体的には10兆、100兆規模の企業群づくりに最速でチャレンジしていくというのである。代表パートナーの吉村氏にビジョンやこれまでのキャリア、人材に対する考え方などをうかがった。
(聞き手/井上和幸)
老舗食品メーカーの長男として薫陶を受け、東大在学中に起業する
井上 吉村さんは、育ったご家庭も経営者一族であるそうですね。
吉村 はい。実家が『マリンフード株式会社』というチーズの製造販売メーカーを経営しております。曽祖父が約140年前に創業しまして、いま、父親が四代目です。わたしが長男として生まれましたので、基本的にはわたしが跡を継ぐという認識で子供時代を過ごしていました。
井上 いずれ、吉村さんが継がれる予定はあるのですか?
吉村 後ほど詳しくご説明できればと思いますが、わたしたちミダスキャピタルは「企業群として大きく発展していこう」という考え方を持っています。実家の会社では、わたしが『株式会社エアトリ』(*旅行事業など)を上場する手前ぐらいのスキームでは一族が30%ちょっとの株式を、そして外部株主が70%近くを持っていました。
古い会社なのでそうなっていたのですが、わたしが上場してからはその資金で外部株主からどんどん買い取っていき、いまはわたしが筆頭株主で、一族でほとんどの株を持っています。自分自身で社長をするかどうかは別として、マリンフードも企業群の一社として参加してもらっており、一緒に時価も会社もどんどん大きくしていきたいと思っています。
井上 なるほど。そういう形になっていらっしゃるのですね。吉村さんは幼少のころから、やはり企業経営をやりたいとか、やらなければという意識はあったのですか?
吉村 はい。もともとそういう環境でしたし、わたしがかなり小さいころから会社のパーティーのようなものには毎回出ていました。また、当時は祖母がマリンフードの会長だったのですが、...
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