2022/08/23
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戦略人事の仕掛人
第17回
「100人100通りの働き方」実現の過程で見えた課題と利点【前編】
- 組織
グループウェア「サイボウズ Office」や業務改善クラウドサービス「kintone」などのソフトウェア開発を手掛けるサイボウズは、「100人100通りの働き方」を掲げる柔軟な人事制度を導入しています。そのきっかけは、離職率28%と社員の4人に1人以上が退職する危機的状況に直面したから。
その後、さまざまな制度を新設し、試行錯誤を重ね、グローバルで従業員数が1000名を超える規模になった現在、離職率5%台と日本企業の平均を大きく下回っています。「100人100通りの働き方」を実現する過程でどのような課題とメリットがあったのか。新卒でサイボウズに入社し、現在人事部長を務める青野誠氏に話を聞きました。
(聞き手/川内イオ)
「ちょっと違うこと」がしたくてサイボウズへ
川内 青野さんは新卒でサイボウズに入社されています。どういう理由で志望されたのですか?
青野 わたしは情報学科出身で、周りはIT系とかITコンサルに就職を目指す人が多かったんですよ。就職活動が始まると、説明会に同級生が来ていたり、同じ企業から内定をもらっている同級生もいたり、ということがありましたそのときに、みんなと同じところに行って同じような将来になっても面白くなさそうだな、ちょっと違うことをしたいなって感じたんですよね。
川内 「ちょっと違うこと」として選んだのが、サイボウズだったんですね。
青野 そうですね。2005年に就活をして2006年に入社しているんですけど、当時はIT系ベンチャーがたくさん出てきている時期で、どんどん会社を大きくしていくんだという勢いのある会社が多いと感じていました。
そのなかでサイボウズは毛色が違っていて、しっかりプロダクトを作って世界中の人に使ってもらいたいという、派手さはないけど実直な思いを持ったITメーカーだと思ったんですよね。それに当時から、日本ではそこそこシェアがとれそうで、世界中の人にも使って欲しいという話をしていて、純粋にワクワクして。自分たちが作ったモノが世界中の人に使われたらすごく面白いよねって。
川内 まさに就活中の2005年、サイボウズは創業時から現在までを通して最悪の離職率28%を記録していますが、それはご存じだったのでしょうか?
青野 いえ、知りません。言ってくれたら良かったのに(笑)。でも、恐らくその情報を知っていてもそんなに気にしなかったと思います。
川内 それはなぜですか?
青野 実際、入社して営業に配属されたら、長時間の残業は当たり前でした。でも、入社前からベ...
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