TOP スペシャルコラムドラッカー再論 経営管理者の権限とは。

2022/07/25

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スペシャルコラムドラッカー再論

第327回

経営管理者の権限とは。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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経営管理者の仕事は、その範囲と権限を可能なかぎり大きくしなければならないとドラッカーは言う。

 

「すなわち、意志決定は可能な限り下の階層、可能な限りその意志決定が実行される現場に近いところで行わなければならない。これは、上からの権限の委譲という従来の考えとはまったく異なる。」(『現代の経営』、1954年)

 

企業にとって、いかなる活動や課題があるかは通例、「上」から決定される。したがって仕事の分析は、企業活動の最終成果である事業の目的から始まる。そこから実際に行うべき仕事の一つひとつが決定されていく。

 

「しかし、経営管理者の仕事は下から組み立てられる。第一線の活動、すなわち製品やサービスという産出物に関わる仕事、顧客への販売、設計図の製作についての具体的な仕事から始まる。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーの考えとして、最も基本的なマネジメントの仕事を行うのは、第一線の現場管理者だということがある。

 

「つまるところ、彼らの仕事がすべてを決定する。」(『現代の経営』)

 

と見るならば、上位の経営管理者の仕事はすべて派生的であり、第一線の現場管理者の仕事を助けるものに過ぎないのだ。
組織構造の観点からも、権限と責任は第一線に集中させなければならない。

 

「彼らにできないことだけが上位に委ねられる。第一線にこそ遺伝子がある。上の組織はすべて、この遺伝子によって規定される。」(『現代の経営』)

 

これがドラッカーの明確な考えであること、ぜひ押さえておきたい。

 

当然のことながら、第一線の現場管理者が行うことができる意思決定、また行うべき意思決定には限界がある。彼らの権限や責任にも限界がある。
担当外の組織、エリアに対する意思決定は行えないし、事業全体やその価値観に影響する意思決定も行えない。また、部下のキャリアや将来を左右する意思決定も、正規の手続きなしで単独で行うことは許されない。

 

「第一線の経営管理者に対し、彼らが行うことのできない意思決定を要求してはならない。そもそも目前の問題に責任を持つ者は、長期的な決定を行う時間がない。」(『現代の経営』)

 

もちろん彼らは、経営参画の気持ちをもつべきだし、経営レベルの意思決定につき知り、理解し、可能な範囲で立案にも参画すべきである。

 

「しかし彼は、それらの問題について決定を行うことはできない。権限も責任ももちようがない。権限や責任は常に、なすべき仕事を中心に与えられる。このことは、CEOにいたるあらゆる経営管理...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。