2022/07/15
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イマ、ココ、注目社長!
第246回
「品質の良さの数値化」で拡がる、日本の「食」の可能性【後編】
- 経営者インタビュー
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- dot science株式会社 代表取締役 小澤 亮氏
うま味、香り、口どけの良さなど、これまで感覚的に語られてきた「食」の魅力を数値化することで、マーケティング業界に新風を吹き込んでいるベンチャー「dot science(ドット サイエンス)」。
同社を率いるのが、ヤフー、フリーのウェブマーケターを経て起業した小澤亮氏。マーケティングとは「魔法の杖を渡すこと」と語る小澤氏が手を組んだのは、シェフの田村浩二氏と、農業科学者の木村龍典氏。異色のチームはそれぞれの強みを活かし、クライアントが作る食材の品質の良さを数値化してマーケティングにフル活用することで、売り上げ増に貢献してきました。昨年4月には「品質の良さの数値化」に特化した「成分分析ブランディング」もスタートし、フライパンの分析などで続々とユニークなデータを公表しています。
(前編はこちら)
(聞き手/川内 イオ)
シェフ、農業科学者と組んで起業
――2017年9月、シェフの田村浩二さん、農業科学者の木村龍典さんとともに起業して、「dot science(ドット サイエンス)」を設立されています。その経緯を教えてください。
小澤 ふたりに会ったのは、環境省が立ち上げた「森里川海プロジェクト」のキックオフイベントです。田村はもともと、シェフの創造性をもってすれば、厨房に立つこと以外でも活動の場は作り出せると考えていました。いまではその想いが結集して株式会社 Mr. CHEESECAKEとしても活躍の場を広げています。木村も同じような感覚で、研究者、科学者としてビジネスで身を立てることができないかという視点を持っていました。
田村を横田園芸に連れていったときに食用バラを大絶賛したので、木村さんに「一般的に流通する食用バラとヨコタ園芸のバラの香り高さを分析できないか」と相談したんです。それで彼が島根大学との間に入って分析してくれたんですけど、香り高さが一般的な「ベルローズ」という食用バラの約3840倍というとんでもないデータが出たんですよ。
――3840倍!? 想像もつかない差ですね。
小澤 そうなんです。希少なブランド豚を生産しているみやじ豚さんが以前から、「平均的な国産の豚に比べてうまみ成分が2倍以上です」というマーケティングをしていて素晴らしいなと思っていたんですけど、シェフの田村と科学者の木村が一緒なら、みやじ豚さんのように品質の良さを数値化することで食材のブランド化ができそうだなと思って、一緒に起業しました。
――「品質の良さの数値化」は、ひとりでは難しかったんですか?
小澤 どうしたらい...
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