2022/07/19
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敏腕キャピタリストの着眼点
第30回
自ら挑戦しまだ見ぬ景色を見ようとする経営者に投資したい。【後編】
- 経営
- 組織
シード期のスタートアップへの投資と経営支援を通じてレガシー産業のIT化や新規事業の創出に注力し、東南アジア地域もカバーするベンチャーキャピタル、株式会社ジェネシア・ベンチャーズの創業CEO、田島聡一さん。後半では、いよいよ投資家としての田島さんの着眼点を深掘りします。
「投資判断する上でプロダクトやトラクションなんてなくてもいい」と話すベンチャーキャピタリストは、はたして起業家の何を見ているのか。そして、そんな田島さんが予測する、5年後、10年後のビジネスの姿とは?
(前編はこちら)
「時代の変化の方向性に抗わないビジネス」であることが最重要
井上 代表を務めていたサイバーエージェント・ベンチャーズを退職し、ジェネシア・ベンチャーズを立ち上げられましたが、創業当初にイメージしていた数年後の会社の姿はどのようなものでしたか?
田島 まず、仮説検証フェーズで投資をするということは絶対にブラさないようにしたいと思っていました。ゼロからイチを創り出す楽しさは、僕自身、前職で感じていましたから、起業家に伴走してそのプロセスをともに乗り越えるファンドを作りたかった。シードラウンドにフォーカスし、まだ事業の方程式が立っていない段階で、いかにその式を立て、しっかりと売上をあげる仕組みを創っていくのか。リード投資家として、また当事者として(起業家にとって)いちばんの伴走者で在り続けたい。
加えて、日本だけではなく、中長期で経済成長が継続する東南アジアでも投資をしていくといったあたりが会社設立の骨子でした。また、社会に対して大きなGood Impactを与えられるシステムのようなものを創りたいという想いがありました。ですので、「自律的・能動的に新たな産業を生み出し続けるプラットフォームを実現するにはどうすればよいか」というようなことも強く意識していましたね。
井上 そのようにしてシード期から投資されている会社さんで、いま、良い感じに成長している企業にはどんなところがありますか?
田島 例えば、ジェネシアの第1号案件である「HRBrain」ですね。
井上 タクシー広告をよく拝見しますね。
田島 はい。いわゆる戦略人事クラウドを提供しているスタートアップで、まだプロダクトもトラクションもないタイミングで投資を決めましたが、極めて順調に成長しています。
井上 HRBrainさんのどこに、田島さんは成長の芽を見ていたのですか?
田島 社長の堀 浩輝さんとは、当時このような議論をしていました。経営者にぶら下がるミ...
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