TOP スペシャルコラムドラッカー再論 全体から設定されない目標や、キャンペーンによるマネジメントは絶対に失敗する。

2022/06/20

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スペシャルコラムドラッカー再論

第322回

全体から設定されない目標や、キャンペーンによるマネジメントは絶対に失敗する。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ドラッカーは、社長から工場の現場管理者や事務主任に至る全員が明確な目標を持つ必要があると述べている。

 

「それらの目標は、自らの部門が生み出すべき成果を明らかにする必要がある。他の部門の目標達成を助けるために、自らや自らの部門が期待されている貢献を明らかにする必要がある。そして、自らの目標を達成するうえで、他の部門からいかなる貢献を期待できるかを明らかにしなければならない。」(『現代の経営』、1954年)

 

つまりは、目標設定の段階からチームとしての成果を重視し、チーム連携を前提とした目標を立てなければならない。当然のことながら、こうした目標は全社目標から導かなければならない。

 

「ある企業では、会社全体の目標と、生産部門全体の目標の詳細を現場の小さな一部門にいたるまで示すことによって成果をあげている。非常な大企業であって、現場それぞれの生産量と企業全体の生産量の間には天文学的な違いがある。しかしその成果は、生産量の大幅な増大となって現れている。」(『現代の経営』)

 

全社を見て自らの責任、貢献を行う。マネジメントとは自らの行動によって全体への責任をとる者、すなわち「石を切ることによって教会を建てる者」のことだとドラッカーは言っている。

 

「全員が、事業の繫栄と存続に関りのあるあらゆる領域について、自らの果たすべき貢献を明らかにしなければならない。もちろん、誰もが直接の貢献を果たせるわけではない。例えばマーケティング部門が工場の生産性に貢献できることはほとんどないかもしれない。しかし、ある者とその部門が領域のいずれか一つについていかなる貢献も期待されていないのであれば、その旨は明確にしておかなければならない。なぜならば、彼らもまた、事業上の成果が、多様な領域における多様な努力と成果のバランスにかかっていることを理解しておく必要があるからである。」(『現代の経営』)

 

こうしたことを理解させておくことは、機能別部門にそれぞれの専門性を最大限に発揮させつつ、自部門が「島国根性」に陥らないようにするためにも絶対に必要だとドラッカーは指摘する。
一人ひとりの目標は、短期と長期の両方の観点から明らかにし、事業上の定量目標とともに、経営管理者のマネジメント状況、従業員たちの仕事ぶりや姿勢、企業の社会的責任などの定量化できない定性目標も含むことが必要だ。

 

「これらの条件を満たさない目標は近視眼的であって、意味がないというべきである。」(『現代の経営』)

 

マネジメントを的確に行うには目標間のバランスが必要であり、危機感をあおるマネジメントやキャン...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。