2022/06/14
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CxOの羅針盤
第30回
ソフトウェア開発のカギは人間関係!? CTO支援の専門家が得た気づき。【後編】
- リーダーシップ
- マネジメント
- キャリア
- 組織
- 広木 大地氏 株式会社レクター / rector, inc. 取締役
ミクシィでメディア統括部部長、開発部部長、サービス本部長執行役員などを歴任後、2015年に株式会社レクターを創業した、広木大地さん。現在は複数社のCTO支援を行い、一般社団法人日本CTO協会理事も務めています。
広木さんは、自身の仕事について「CEOとCTO、経営陣とエンジニアの間に立って文化のギャップをかき回して、前に進めるかき混ぜ師」と表現します。後編では、ソフトウェア開発の現場における注意点や、CTO支援の専門家としてどんなクライアントにどういうサポートをしているか、そしてなぜCTO支援をしているのかを伺いました。
(前編はこちら)
(聞き手/川内イオ)
リスクを軽減するアジャイル開発
川内 前編では、ソフトウェア開発は人間関係がカギを握るというお話を伺いました。そうなると、エンジニアの能力はもちろんですが、人材のマネジメントが重要になりますね。
広木 マネジメントが重要という表現では感じ取れない部分として、ひとつの極論を言うと、「人数は少ないほうがいい」ということがあります。例えば僕のキャリアでいうと、ミクシィでは広告の部門からCTOの直轄でなにかトラブルが起きたら解決するという部署に異動しました。言ってみれば、火消しですよね。
「火事」が起きているところでは、人間関係もゴタゴタになっているんですよ。そういう場ではまず、責任の所在がわからなくならないように、外れる人、残る人、意思決定する人を決めて、できる限り関係者を減らしました。
そうすると情報共有しなきゃいけない量も減るので、仕事が進みやすくなるんですよね。ソフトウェアの開発はたくさんの作業があるんだから、人数を増やしたほうがうまくいくんじゃない? と思いがちですが、実際は違います。
川内 「船頭多くして船山に登る」と。
広木 はい。多くの場合、足りないのは頭数ではなくて、知恵と意思決定です。マネジメントや人間関係の調整を考える前段階で、まずはあまり人が増えすぎないようにするべきですね。
川内 それは大切なポイントですね。ソフトウェア開発においてほかに注意すべき点は?
広木 ひとりが「やばいなぁ」と感じていることは、意外とみんな「やばいなぁ」と思っているんです。でも、誰もそれを言い出せないまま進みがちなんですよね。それで、土壇場になって、「これ、うまくいきませんね」「みんなわかってたんですけどね」という事態になる。
これは、それを指摘しても誰からも怒られないという雰囲気があれば、改善できることなんですよ。リスクがあったら、そのリスク...
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