TOP スペシャルコラムドラッカー再論 方向づけの問題と、専門化した仕事に潜む危険性。

2022/06/06

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スペシャルコラムドラッカー再論

第320回

方向づけの問題と、専門化した仕事に潜む危険性。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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事業が成果をあげるには、当然のことながら一つひとつの仕事を事業全体の目標に向けなければならない。あらゆる仕事は全体の成功に焦点を合わさなければならない。各業務に期待される成果は、事業の目標に基づいて決められる。それは組織の成功に対する貢献によって評価される。

 

「組織はチームをつくりあげ、一人ひとりに働きをひとつにまとめて共同の働きとする。組織に働く者は共通の目標のために貢献する。彼らの働きは同じ方向に向けられ、その貢献は隙間なく、摩擦なく、重複なく、一つの全体を生み出すよう統合される。」(『現代の経営』、1954年)

 

組織に働く者は、事業の目標が自らに求めているものを知り、理解しなければならない。上司もまた、彼らに求め期待すべき貢献を知らなければならない。そして彼らを評価しなければならない。これらのことが行われなければ、組織に働く者は方向づけを誤る。働きは無駄になる。チームワークの代わりに、摩擦、不満、対立が生まれる。

 

「目標管理には特別の手法と非常な努力が必要である。組織においては、そこに働く者が共通の目標に向けて自動的に方向づけされるわけではない。それどころか、企業には経営管理者を誤って方向づけする3つの強力な要因がある。すなわち、経営管理者の仕事が専門化していること、マネジメントの構造が階層になっていること。そして、ものの見方と仕事の違いが孤立化を招いていることがある。」(『現代の経営』)

 

ドラッカー以前から存在していたようだが、ドラッカーが引き合いに出してメジャーになった「3人の石工の話」がある。
何をしているのかを聞かれた3人の石工は、一人は「これで食べている」と答え、一人は「国で一番の仕事をしている」と答え、もう一人は「教会を建てている」と答えたという。(※これがドラッカー自身が挙げている3人の石工の言葉だ。いま、あちらこちらで例示される3人の答え方は、ここから派生して様々なバリエーションが存在している。)

 

「もちろん第三の男があるべき姿である。第一の男は、一応の仕事をする。報酬に見合った仕事をする。問題は第二の男である。職人気質は重要である。それなくして立派な仕事はありえない。事実、いかなる組織も、そこに働く者に最高の腕を要求しないかぎり堕落する。しかし一流の職人や専門家には、単に意思を磨いたり、些末な脚注を集めたりしているにすぎないにもかかわらず、何かを成し遂げていると思い込む危険がある。一流の腕は確かに重視しなければならないが、それは常に全体のニーズとの関連においてでなけれなばらない。」(『現代の経営』)

 

いかなる企業においても、経営管理者のほ...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。