TOP スペシャルコラムドラッカー再論 生産システムがマネジメントに要求するもの。

2022/05/16

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スペシャルコラムドラッカー再論

第317回

生産システムがマネジメントに要求するもの。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ドラッカーが提唱する3つの生産システムの、第三はプロセス生産だ。

 

「ここで、プロセスと製品は合体する。プロセス産業の最も古い例は石油精製業である。原油から得る製品は生産のプロセスによって決定される。石油製品の種類や比率は生産プロセスによって決まる。新製品を生産したり、製品の比率を大幅に変更するには精製設備を変えなければならない。」(『現代の経営』、1954年)

 

化学工業や飲料・食品製造、あるいは部材の生産工場などもこれに当たる。
オートメーションに最も適しているのが、このプロセス生産と新型の大量生産だとドラッカーは言う。

 

「マネジメントは生産部門に対し、第一に、いかなる生産システムが最適であるかを知ることを要求しなければならない。第二に、その生産システムの原理を持続的にかつ徹底して適用することを要求しなければならない。」(『現代の経営』)

 

この2つのことは、生産に対する物理的な制約を除去する上で基本的かつ重大な手順だとドラッカーは指摘する。この手順を経ずに、より進化した生産システムに進むことはできないのだと。
真のオートメーション化は、新型の大量生産が、統一された部品の生産とそれら部品の多様な製品への組み立てからなるものであることを理解し、そのように組織されて初めて実現する。
ドラッカーはこの件での失敗と成功の例を、プレハブ住宅やワイシャツメーカーを例に挙げて紹介している。

 

マネジメントは、3つの生産システムのそれぞれが、いかなる能力と仕事を要求するかを知らなければならない。

 

「個別生産において、マネジメントにとって第一の仕事は注文を取ることである。大量生産においては、流通チャネルをつくることであり、同時に顧客がそれぞれのニーズを製品の多様性に適合させてくれるよう、顧客を教育することである。プロセス生産においては、市場を創造し、維持し、拡大することであり、さらには新しい市場を見つけることである。」(『現代の経営』)

 

個別生産では製品の柔軟性に利がありつつ、コストは割高になる。大量生産は製品を安く大量に供給できるが、多額の設備投資を必要とし、大規模かつ継続的な生産活動、その前提となる販売を確保する流通チャネルが必要だ。
プロセス生産では更に巨額の設備投資を要し、継続的な生産の上で生産プロセスの変更が新製品の生産を意味する。そのための既存市場の確保と、同時並行して新市場の開拓を必須のものとする。

 

「それぞれの生産システムが、それぞれ異なるマネジメントのスキルと組織を必要とする。個別生産は技能に優れた人を必要とする。新...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。