2022/05/13
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イマ、ココ、注目社長!
第233回
AIと秘密計算で、機密データを安全に活用し価値化する。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- EAGLYS株式会社 代表取締役 CEO 今林 広樹氏
「AIモンスター」の異名を持つ今林広樹さんが率いるEAGLYS(イーグリス)は、秘密計算を中心としたデータセキュリティ技術と、AI設計技術の両方を得意とする会社です。現在、メンバーの国籍は8ヶ国以上、その約4割がPh.D.を持っているそう。これまでセキュリティの厚い壁に阻まれてきたデータを、暗号で守りながら収集・連携し、解析・活用するサービスを提供しています。あらゆるデータが安全に活用できる社会を目指して、物流・製造・商社・交通・金融・医療・行政など、様々な分野にアプローチし、活躍の幅を拡げています。
学生時代から起業を意識していたという今林さんは、シリコンバレーでの経験をきっかけにEAGLYSを立ち上げました。データセキュリティに着目した理由や、創業・組織づくりの経緯、経営に対する考え方を伺いました。
企業間のデータ連携が拡がるように、事業を仕掛けていく
――改めて、御社のサービスについて具体的に教えてください。例えばコロナ禍で、携帯電話の位置情報を解析して人の流れを調査することが話題に上りました。このときは、docomoならdocomoのデータだけだったと思いますが、秘密計算の技術を使えば、複数のキャリアの位置情報を、プライバシーを侵さずに抜き出してきて、統合して分析できるようになるわけですか?
今林 その通りです。従来は引き出せなかったデータを、安全に引き出せるようになる。秘密計算、データセキュリティの分野には、まだマーケットが確立されていないので、まさにいまおっしゃったようなユースケースを積み上げていく段階にあります。
企業をまたいでデータを連携することで、新しい価値が生まれることを、デモをつくって見せていかなければならない。自分たちから企業の間に入って起爆剤を仕掛けていく。そういう意味で、本当にBizDevが重要でハードなフェーズだと思っています。ただ、データ連携が当たり前になる未来には、秘密計算はマストハブ(Must have)の重要技術になると確信しています。
――当社の人材系ビジネスにおいても、相応の経営者情報や幹部・マネジメント人材情報が蓄積されており、それを元に最近、「経営者力診断」をリリースしました。これは我々のデータマイニングからの1つのアウトプットですけれども、さらに幅広く企業の垣根を超えたマネジメント層の方々に関する人事データを解析できたら、もっといろんなことができるのになあ、とかねがね思っているんです。ぜひ秘密計算に期待したいですね。
今林 ありがとうございます。人事データには様々な可...
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