2022/05/11
1/1ページ
イマ、ココ、注目社長!
第232回
AIと秘密計算で、機密データを安全に活用し価値化する。【前編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- EAGLYS株式会社 代表取締役 CEO 今林 広樹氏
「AIモンスター」の異名を持つ今林広樹さんが率いるEAGLYS(イーグリス)は、秘密計算を中心としたデータセキュリティ技術と、AI設計技術の両方を得意とする会社です。現在、メンバーの国籍は8ヶ国以上、その約4割がPh.D.を持っているそう。これまでセキュリティの厚い壁に阻まれてきたデータを、暗号で守りながら収集・連携し、解析・活用するサービスを提供しています。あらゆるデータが安全に活用できる社会を目指して、物流・製造・商社・交通・金融・医療・行政など、様々な分野にアプローチし、活躍の幅を拡げています。
学生時代から起業を意識していたという今林さんは、シリコンバレーでの経験をきっかけにEAGLYSを立ち上げました。データセキュリティに着目した理由や、創業・組織づくりの経緯、経営に対する考え方を伺いました。
(聞き手/井上 和幸)
2度の起業チャレンジを経て、シリコンバレーで解決したい課題を発見
――大学でははじめ、脳科学を志したそうですね。
今林 脳の働きに興味があって、早稲田大学先進理工学部生命医科学科に進みました。知的好奇心を刺激される学問でしたが、ずっと講義を受けている気になれなくて、1、2年生のころは麻雀ばっかりやっていました(笑)。
――よく分かります。僕も学生時代はそうでした(笑)。でもいっぽうで、その当時から、いつかは起業しようというお気持ちがあったんですか?
今林 思い返せば高校時代から「いつかは何か事業をやる」と周りに言っていたんですよね。それはたぶん、環境のせいだと思います。祖父が会社を立ち上げ、母がそれを継いで、いまも現役の経営者なので、経営者になることは、身近な選択肢の1つでした。
――在学中に起業経験があるとか。
今林 会社設立には至らなかったんですが、あるベンチャー企業が起業家を育成するインキュベーション事業を興そうとしたときに、実質的なナンバー2の立場で参画しました。マーケティングのWebサイトを立ち上げて記事を書いたり、言ってみれば裏方ですが。
――理系の学生は忙しいのに、すごいですね(笑)。
今林 授業にはほとんど出ていませんでしたから(笑)。それがちょうど2年から3年になるころで、「このままではまずいぞ」と将来を考え始めて。大学院では、生命科学から情報工学に転向しました。同級生とは4年のハンデがあるので大変でしたが、このときは猛勉強して、なんとかキャッチアップできました。
――そのころ、シリコンバレーにも行かれたんですよね。
&nb...
こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。