TOP 戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから 後編:DX時代だからこそ、組織へヒューマニティ(人間性)を取り戻していく秘訣とは

2022/04/28

1/1ページ

戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから

第28回

後編:DX時代だからこそ、組織へヒューマニティ(人間性)を取り戻していく秘訣とは

  • キャリア
  • 組織
 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >>

  前編では、私たち個人が属する組織(国家、社会、企業、コミュニティ、チーム)のパーパスと、個人のパーパスがうまく繋がらない状態が継続することで、心身の機能不全や、社会の機能不全が顕在化しているのではないか、という仮説を元に、DX時代だからこそ組織へヒューマニティを取り戻していくことが、なぜ健全な経営の鍵となるか、というお話を展開しました。

 

おさらいですが、人間中心経営や、人間として何が正しいかを考え抜く倫理観の形成を、真剣に組織の中で取り組み、浸透させていくことで、ヒューマニティ(人間性・人情・人間味)を組織の中で育んでいくことが、特にデジタルトランスフォーメーションが進む現代だからこそ、私たちが注目し、取り組みを始めていく着眼点となります。

 

これからの時代のウェルビーング経営の鍵となる考え方の軸は、主に以下の5つでした。

 

1.ワークライフバランスという区別の仕方はもう通用しない。ワーク、ライフ、ヘルス(ウェルビーング)のすべてが包含された一人の人間としての一貫性を、どのように高めていけるような職場環境を整えていけるかの考え方にシフトする。

 

2.回答が出しづらい日々の状況の中では、「事実」とそうではない「人の解釈」とを区別することが難しくなるため、組織の中で発生する対話の中で、「事実」と「解釈」を区別してから対応策を検討する、対話のフレームワークを作ることにシフトする。

 

3.「職場に感情を持ち込まない」は幻想であると自認する。テレワーク環境や、場所や時間を選ばずにフレキシブルな働き方を、さらに求める流れは止められないが、それにより、対価を得る仕事の時間と、そうではないその他の時間、という切り分け自体が難しくなってきており、切り分けることで逆に無益なストレスを生み、チームメンバーの生産性が落ちる可能性ある。よって、職場は、ひとりの人間を形成するすべてを持ち込む場であると、定義をシフトする。

 

4.形だけ、口だけのダイバーシティ指標を掲げ、それを追い求めることで、ダイバーシティ&インクルージョンの目的と手段が入れ替わってしまっているのであれば、D&Iの目的自体をシフトする。D&Iは、多様な考えや意識を集合知として意思決定に反映させることで、事業のイノベーションを発生させ、成長に不可欠であることを目的に推進する。

 

5.組織における「信頼指数」を図るサーベイを導入することで、信頼=事業の成功指数という定義へシフトする。信頼を高め、挑戦を促すことで、信頼=相手が支援してくれる、または梯子を外さないとわかっている中でリスクをとる、という勇気ある行動を起こすメンバーが増えれば増えるほど、イノベーションは発生する。

 

後編では、そのような目標を目指して、経営者や人事担当者が、どのような具体的な組織開発の施策に着手すればいいのか、についてお話します。

こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。

プロフィール

  • 桜庭 理奈氏

    桜庭 理奈氏

    35CoCreation合同会社 CEO

    外資系金融企業での営業・企画推進を経て、人事へキャリアチェンジ。複数の外資系企業において、多国籍な職場環境で戦略的な人事を担当。2016年、アジアパシフィック地域統括の戦略人事担当として、外資系医療メーカーのGEヘルスケア ・ジャパン株式会社へ参画。2017 年より同社日本法人の人事本部長、2019年より執行役員として着任。2019年より組織開発コンサルティング活動をパラレルで開始し、2020年5月より35 CoCreation (サンゴ コ・クリエーション)合同会社を設立し、人事部&人事部長不在の多様な組織間で、CHRO(チーフ・HRオフィサー)人材のシェアド・リソース・サービスを提供する、人財プラットフォーム事業の代表を務める。愛知県出身。趣味はダイビング。

    この登場者の記事一覧をみる