2022/04/20
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第150回
ゾンビ体質を回避し、健全企業として生き残るために/『社長のための「中小企業の決算書」財務分析のポイント』
- ビジネススキル
- 組織
- 経営
- 日本実業出版社 第一編集部 佐藤 美玲氏
成功する経営者は皆、多読家。成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『社長のための「中小企業の決算書」財務分析のポイント』。本書の編集を手掛けられた、日本実業出版社の佐藤美玲氏に見どころを伺いました。
倒産件数が抑制された事実の背後にある企業課題
2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う資金繰り支援で、官民の金融機関による貸出額は50兆円を上回る金額になりました。
こうした過去最大規模の危機対応策によって、2021年の企業倒産は57年ぶりに低水準となっています。
その一方で問題になっているのが、過剰債務体質に陥っている中小企業の増加です。
いわゆるゼロゼロ融資(公的機関が3年間利子を負担し、最長5年間、元金返済を猶予する、実質無利子・無担保の融資)により、資金繰りをつないだ中小企業が多数ありますが、利息の支払いが始まれば、金利負担が重くのしかかってきます。資源高やモノ不足、円安、賃金の上昇圧力など、利益の出にくい状況下で返済を進めるのは、容易なことではありません。
銀行交渉では社長が語る「自社の方向感」がポイント
本書は、現在9刷のロングセラーとなっている『社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方』(安田順著、日本実業出版社、2015年)の続編になります。
前回の本では、「銀行員は中小企業のPLとBLをどう読んでいるのか?」という視点で、中小企業の決算書の読み方と、銀行との交渉術の基本を解説しました。
今回の本は、「中小企業が健全企業として生き残るために、過剰債務状態の自社の決算書をどう読み、どう改善していくか?」という視点で、今後の資金調達や経営力アップに役立つ内容を盛り込みました。
本書の著者で、資金繰りに悩む中小企業を20年以上にわたり支援している中小企業診断士・安田順氏によると、「銀行交渉では、社長が『自社は今後こうしていく』という方向感をどう語るかがポイントになる。そのためにも、自社のBSについて、『だいたい分かった』ではなく、『かなり分かった』状態になるのが重要だ」とのことでした。
そのため本書では、BSの攻略法について、紙幅を割いてたっぷり解説させていただきました。
本書との出会いが、財務体質改善のきっかけになれば幸いに思います。
著者:安田 順
出版社:日本実業出版社
価格:1,870円(税込)
■目次
第1章●会社の仕組みとBSの攻略法
第2章●“ゾンビ体質”を回避するための着眼点
第3章●借金が膨張した決算書をどう読むか?
第4章●決算書が表す“方向感”と銀行説明の注意点
第5章●決算書の評価を決める重要財務指標
第6章●結局一番大事な数字は「フリーキャッシュフロー」
第7章●財務CFに基づく「中長期の資金繰り管理」
第8章●BSの実践的な読み方・実態BS評価の考え方
第9章●法人税の基本とタックスプランの考え方
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