2022/04/22
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イマ、ココ、注目社長!
第229回
100万人動員のバーチャルマーケット。目指すは「価値の再定義」。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 舟越 靖氏 株式会社HIKKY 代表取締役
2021年に来場者数100万人超、出展企業約80社を記録したバーチャルマーケット。仕掛け人は、VR・ARに特化したベンチャー、HIKKYを率いる舟越靖さんです。舟越さんは、うつ病を患っていたVRクリエイターとの出会いを機に、バーチャルマーケットを立ち上げ、成長させるために奔走してきました。そして今年2月、シリーズAラウンドで70億円を調達。いまやユニコーン間近と言われるHIKKYの戦略や今後の展望について尋ねました。
「VRの世界なら一度くじけてしまったり、ハンディキャップがあっても社会復帰できる」
――2018年にVR・ARに特化したベンチャー、HIKKY(ヒッキー)を設立されています。これは、どういうきっかけがあったのでしょうか?
舟越 僕がクリエイティブ事業を始めたころからの仲間で、いまは僕の右腕的存在になっているアートディレクターの澤江美香が、「この人たちは面白い! 絶対にくる!」と言って、VRのクリエイターたちに会わせてくれたんです。当時はみんな、ビジネスの「ビ」の字も考えていなくて、ただ楽しいからやっている人たちでした。
当然まだ市場そのものもありませんでした。彼らと話していて、すごく可能性を感じました。まず、常にオープンマインドで、ノウハウを惜しげもなく公開していました。それは、一緒にVRの世界を楽しむ仲間を増やすためなんですよね。まさにウェブ3.0的な発想で、人間としてかっこいいと思いました。
その発想を持ちながら、立体の空間とコンテンツを作って、どういう世界感でどう体験を提供するか、ぜんぶ自分たちで考えられる人たちって滅多にいないでしょう。それで、「よかったら一緒に仕事にしていこう」と声をかけて、ヒッキーを作りました。
――ヒッキーの事業といえば、メタバース上の会場で開催されるVRイベント「バーチャルマーケット」です。このイベントが誕生した経緯は?
舟越 バーチャルマーケットは、澤江美香の紹介で知り合った、動く城のフィオ氏さんのアイデアです。彼はうつ病で大変な時期だったのですが、VR環境の中では出歩いて、元気に活動することができたんです。それで、「VRの世界なら、リスタートして稼いでいくこともできるんじゃないか」と話をしていました。
その時点では、VRの世界に「経済圏を作って、誰でも働くことができて、自由にいろいろなモノを生み出し、売り買いできる」というイメージのみでしたが、僕はこの話を聞いて全力で応援しようと思ったんですよ。それでフィオさんほか2人のVRクリエイターに、うちの澤江をつけてデザイン等でサポートして、後はクリエイ...
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