2022/02/17
1/1ページ
とことん観察マーケティング
第65回
コロナ禍で観客数がキャパの半分でも集客を伸ばしたスターダム
- マーケティング
- 野林 徳行氏 有限会社オフィスフレンジー 代表
野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。
65回目のコラムです。『カスタマーを知る』ことの大切さを毎回書かせていただいています。多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。
今回は、ここにきてコロナ禍前よりも圧倒的に動員を増やしている、明るく、激しく、新しく、そして美しく!輝く女子プロレス団体「スターダム」について、12月29日の大会を振り返るだけで急成長が語れるほどの素晴らしい大会でしたので、それをレポートします。何度かプロレスをこのコラムにも掲載していますが、最近のスターダムの進化が目覚ましいので新たに書いてみました。
2021年のスターダム興行
「スターダム」が2021年12月29日の両国国技館大会で年内興行を終えました。集まった観衆は3,000人。残念ながら、コロナ禍のイベントの開催制限により4人座れる升席も1人での利用。まだまだ昔の観客数には戻せない状態です。2021年度の国内観客動員は同団体最多の47,405人(101大会)。昨年の21,424人(54大会)を大幅に上回り、これまで最多だった一昨年の32,813人(84大会)と比べても14,592人増となり、初の4万人台に乗せたそうです。つまり、コロナ禍前の観客動員を大きく上回ったのです。女子プロレスでは、旗揚げ2年目の2012年から2022年まで、10年連続トップで、男子と比較しても新日本(183,541人)、ドラゴンゲート(57,828人)を追う3位の座に躍り出ました。コンテンツビジネスとして、またスポーツエンターテインメントとして大きな飛躍の年だったと言えるでしょう。
ブシロードファイトの経営へ
新日本プロレスに続き、運営が2019年12月からブシロードファイトに切り替わりました。このコラムでも何度か書きましたが、ブシロードの木谷会長は大のプロレスファンで、新日本プロレスのM&Aに続き、世界の一流団体は男女が同じ大会でプロレスをしており、日本は遅れているという意見の持ち主でスターダムもブシロードの傘下に収めました。プロレス団体としては、金銭面でもスタンス面でも最高の後ろ盾を得たことになります。旗揚げ10周年を迎えた今年は、コロナ禍でも大攻勢。3月3日武道館は、ジュリアvs中野たむの敗者髪切りマッチを敢行して話題を呼びました。6月12日大田区総合体育館では、ワールド王座戦で激突したビッグダディの3女林下詩美と朱里が43分19秒の両者KOという死闘ドロー。新人の台頭や、各選手のまさに死闘といえる試合の連続で人気は上昇の一途をたどりました。
10...
こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。