TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「我々の事業は何か」に、本当に正しく答えられているだろうか?

2022/01/17

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スペシャルコラムドラッカー再論

第300回

「我々の事業は何か」に、本当に正しく答えられているだろうか?

  • マーケティング
  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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あなたが「御社の事業は、何ですか」と聞かれて、答えに詰まる・迷うということはまずありえないだろう。
**を作っている。**のサービスを提供している。初めてお会いする人に、名刺交換の際に話すくらいで、改めて聞かれることも答えることもない問いだと思う。
ところがこれに対して、ドラッカーは次のように言う。

 

「しかし実際には、「われわれの事業は何か」という問いは常に難しく、徹底的な思考と検討なくして答えることはできない。しかも通常、正しい答えはわかりきったものではない。」(『現代の経営』、1954年)

 

ドラッカーが示唆していることについては、このコラムの読者経営者の皆さんであればすぐに、自社の事業を「鉄道」と答えるのか「人を運ぶサービス」と答えるのか。「電話を提供している」のか、「通信を提供している」のか、「コミュニケーションを支援している」のか、でおのずとその企業の事業展開やイノベーションのあり方が大きく変わることを思い浮かべるだろう。

 

「事業は何かを決めるのは、生産者ではなく顧客である。社名や定款ではない。顧客が製品やサービスを購入して、自らを満足させる欲求が何であるかが事業を決める。したがって、「われわれの事業は何か」という問いに対する答えは、事業の外部、すなわち顧客や市場の立場から事業を見ることによってのみ得られる。」(『現代の経営』)

 

マネジメントにとって、顧客が見て、考えて、信じて、欲するものこそ、何よりも真正面から真剣に受け止めるべき客観的な事実だ。
だが、これを簡単にできるマネジメントは、残念ながら必ずしも多くはない。

 

「マネジメントは、消費者の心理を憶測するのではなく、消費者自身から率直な答えを得るよう意識して努力しなければならない。したがって、「われわれの事業は何か」という問いを発し、正しく答えることこそ、トップマネジメントの第一の責務である。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、そのポストがトップマネジメントのものであるか否か、その人自身がトップマネジメントであるか否かについてを知る最も確実な方法は、そのポストにある者が、この問いについて重大な関心と責任をもっているか否かを見ることだと述べている。
事実、事業の失敗の最も大きな原因は、この問いを明確に発し、充分に検討しなかったことに起因している。

 

「この問いは事業の開始時や危機においてのみ発すべきものではない。逆に、事業が成功しているときにこそ発し、十分に検討することが必要である。なぜならば、この問いを怠るとき、直ちに事業の急速な衰退がやって来るからである。」(『現代の経営...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。