TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業における「利益」とは、何か。

2022/01/11

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スペシャルコラムドラッカー再論

第299回

企業における「利益」とは、何か。

  • マーケティング
  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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「(事業の本質に関する考察において)通常のように利益や利益率から始めなかったのは、利益が原因ではなく結果だからである。それは、マーケティングとイノベーションと生産性に関わる仕事ぶりの結果である。」(『現代の経営』、1954年)

 

ドラッカーは、利益の機能について2つを挙げている。

 

第一の機能は、仕事ぶりを判定するための尺度だ。利益による業績の評価は、生産におけるオートメーションの基本原理となるフィードバックと同じ構造を持つ。自ら生産した結果によって、生産のプロセスをコントロールするのと同じように、得られた利益によって自らの業績を評価、コントロールするのだ。

 

「利益には、これに加えて第二の重要な機能がある。経済活動はその本質として、未来に焦点を合わせる。そして未来について唯一確かなことは、その不確実性すなわちリスクにある。リスクの語源がアラビア語の「今日の糧を稼ぐ」であることは偶然ではない。」(『現代の経営』)

 

企業はリスクを取ることによって日々の糧を稼ぐ。事業活動とは、変化を起こそうとする経済活動のことだ。この不確実性、リスクに対する元手となるものが利益である。

 

「企業にとって第一の責任は、存続することである。言い換えるならば、企業経済学の指導原理は利益の最大化ではない。損失の回避である。」(『現代の経営』)

 

よって企業は、事業に伴うリスクに備えるために、余剰を生み出す必要がある。リスクに備えるべき余剰の源泉はひとつだけ。利益だ。
しかも事業は自己のリスクだけに備えればよいわけではない。利益をあげられない他の事業の損失の穴埋めにも貢献する必要がある。

 

「企業は、教育や防衛などの社会的費用に貢献する必要もある。税金を納められるだけの利益をあげる必要がある。事業の拡大のための資金を生み出す必要がある。そして何にもまして、自らのリスクを賄うに足る利益をあげる必要がある。」(『現代の経営』)

 

要約するならば、利益の最大化が企業活動の動機であるか否かは定かではない。これに対して、未来のリスクを賄うための利益、事業の存続を可能とし、富を生み出す資源の能力を維持するための最低限度の利益をあげることは、企業にとって絶対の条件だ。

 

「この「必要最小限の利益」が、事業の行動と意思決定を規定する。まさに、それは事業にとっての枠であり、妥当性の基準である。マネジメントたる者は、自らの事業のマネジメントにおいて、少なくともこの必要最小限の利益に関して目標を設定するとともに、その目標に照らして実際の利益を評価する必要がある。」...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。