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2022/01/06

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とことん観察マーケティング

第63回

水害で大きな被害を受けた人吉球磨地方を訪ねました

  • マーケティング

野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。

 

63回目のコラムです。『カスタマーを知る』ことの大切さを毎回書かせていただいています。多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。

今回は、みなさんの記憶にも新しい、熊本県で発生した球磨川流域の水害に苦しめられた、人吉・球磨地域から依頼された講演について報告します。

 

人吉・球磨地方について

以前のコラムでも、熊本県の県南フードバレーでの講演についてレポートしました。面積の大きな県ですから、阿蘇などの県北・中心部の熊本市・そして人吉・球磨のある県南と、それぞれに特徴が違います。
人吉・球磨地方は、熊本県南部に位置する人吉盆地にあります。この地を語るにあたってのキーワードとしては大きく2つ、「風水」と「三日月の気(エネルギー)」です。その「気」が溜まる最適な場所は盆地とされています。風水都市として有名な京都も盆地です。人吉・球磨地方も同じく盆地でありますが、三日月の形をしているのがその特徴です。この「三日月盆地」は、鎌倉時代より明治維新まで、700年以上にわたり相良家が統治していました。

 

相良家はその間、域内にさまざまな結界を作っていきます。結界とは、俗域と聖域を区切るラインであり、そのラインの内側は気を取り込める聖なる空間となるのです。身近な例としては、地鎮祭で神主さんが土地の四隅にしめ縄を張ることで、その内側は聖域となることを意味しています。相良家は、このように気が溜まるのに最適な盆地に結界を設け、聖域とすることでさらに強く気を取り込み、人吉・球磨地方の安定を確保できると考えたのです。人吉・球磨地方を抱く三日月盆地全体に気を行き渡らせるためでありましたが、そのように祈り深い相良家ゆえに、人吉・球磨地方を長く護ることができたのでしょう。

 

球磨焼酎について

今回の講演は、前回の農産物の加工品に続き、伝統の球磨焼酎のリブランディングプロジェクト向けの講演でした。人吉球磨地域に蔵をかまえる27の蔵元は、複数の個性ある銘柄を持ち、すべてをあわせると200以上のブランドを誇っています。杜氏たちの手で丹精込めて作られた球磨焼酎は、 芳醇な香りと深いコクが楽しめるのが特徴で、多彩な味のバリエーションを作り上げています。
「球磨焼酎」は、日本に4つしかない産地呼称が認められた本格焼酎のブランドのひとつになりました。1995年、人吉球磨で造られる米を原料とした焼酎が正式に『球磨焼酎』として、国税庁の「地理的表示の産地指定」を受けました。良質な米と水のこだわ...

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プロフィール

  • 野林 徳行氏

    野林 徳行氏

    有限会社オフィスフレンジー 代表

    1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1987年リクルート入社。経営企画、事業戦略、商品企画、プロモーションプランニングなどを担当し、カスタマーを知ることに徹底的にこだわった行動で各事業の業績向上に寄与。ブックオフコーポレーションへの出向を経て、2003年ローソン入社。執行役員としてマーケティング、エンタテイメント、商品開発を担当し、数々のヒット企画を生み出した。2010年ローソンエンターメディア代表取締役社長に就任。2012年レッグス入社。CMOとしてキャラクターを活用した販売促進を強化。2016年FiNC CMO就任。人工知能を活用したヘルスケアアプリのマーケティングを推進。現在は、有限会社オフィスフレンジー代表、高木学園理事兼英理女子学院高等学校マーケティング講師、NewsTV取締役、4DT取締役、ログノート監査役。さらに、ブックオフグループホールディングス、聡研プランニング、ニューネックス、助成金制度推進センター、メローネと多岐にわたる業種で顧問を務める。著書「とことん観察マーケティング」をベースにした講演・研修を実施中。

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