TOP とことん観察マーケティング 次々にチャレンジする新日本プロレスのデジタル戦略

2021/12/16

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とことん観察マーケティング

第62回

次々にチャレンジする新日本プロレスのデジタル戦略

  • マーケティング

野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。

 

62回目のコラムです。『カスタマーを知る』ことの大切さを毎回書かせていただいています。多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。

 

今回は、ブシロード傘下となり大きく飛躍した新日本プロレスの多種多様なコンテンツビジネスを垣間見てみましょう。

 

ブシロードの中でも重要なコンテンツである新日本プロレス

以前にも書きましたが、大のプロレスファンでもある株式会社ブシロードの木谷会長が、新日本プロレスの経営権を取得した時、プロレスの世界しか見てこなかった人たちではできないことがたくさん起こる気がしてワクワクしました。以前からプロレス団体のオーナー企業はいくつも存在したのですが、現場やレスラーと合わないとか、お互いに信頼感が生まれないとか、意気投合しているのだけれども資金が続かないとか、なかなか企業としてのマネジメントが機能しない時代が続きました。そこで、上場企業の基準を持ったコンテンツビジネスの雄ブシロードが名乗りを上げてくれたことに大変感謝しました。低迷していた新日本プロレス、そしてプロレス界のキャラクター=選手の個性を定義し、十分な広告宣伝にて再度、往年のプロレス人気を取り戻すことに着手したのです。

 

コンテンツビジネスに精通した社長が就任し、ブシロードの企画制作部隊が投入された結果、あまりレベルの高くなかったグッズも、どんどん欲しいと思う物に進化しました。また、コンテンツビジネスの雄である、アミューズの相馬氏をブランディングのプロデューサーに迎えたことも大きな意味があります。相馬氏は、私のローソンチケット時代の大事なパートナーでプロレスの大ファンです。配信ビジネスを一気に拡大させ、コロナ禍でも世界中のファンとつながっていられる環境を早々に創りあげていたことは大きな成果でした。また、世界トップの団体WWEは、男性レスラーも女性レスラーも当たり前のように同じ団体に所属し、スーパースターとしてプロレスだけでなく社会貢献でも大きな活躍をしています。木谷会長も日本ではトップの女子プロレス団体スターダムも取得し、2団体でのコラボレーションもスタートしています。

 

動画配信ビジネス

「新日本プロレスワールド」という月額999円の主要な大会を生中継し、見逃し配信も可能なビジネスを世界に向けてスタートさせました。ここでしか見られないオリジナル映像、過去の激闘・熱戦・名勝負、完全密着ドキュメンタリーや独占インタビューなど新日本プロレスワールド限定の貴重映像満載にして配信しています。

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プロフィール

  • 野林 徳行氏

    野林 徳行氏

    有限会社オフィスフレンジー 代表

    1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1987年リクルート入社。経営企画、事業戦略、商品企画、プロモーションプランニングなどを担当し、カスタマーを知ることに徹底的にこだわった行動で各事業の業績向上に寄与。ブックオフコーポレーションへの出向を経て、2003年ローソン入社。執行役員としてマーケティング、エンタテイメント、商品開発を担当し、数々のヒット企画を生み出した。2010年ローソンエンターメディア代表取締役社長に就任。2012年レッグス入社。CMOとしてキャラクターを活用した販売促進を強化。2016年FiNC CMO就任。人工知能を活用したヘルスケアアプリのマーケティングを推進。現在は、有限会社オフィスフレンジー代表、高木学園理事兼英理女子学院高等学校マーケティング講師、NewsTV取締役、4DT取締役、ログノート監査役。さらに、ブックオフグループホールディングス、聡研プランニング、ニューネックス、助成金制度推進センター、メローネと多岐にわたる業種で顧問を務める。著書「とことん観察マーケティング」をベースにした講演・研修を実施中。

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