2021/12/21
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私が経営者になった日
第80回
【サイクラーズ株式会社 福田社長】孤独の中でも経験の積み重ねが自信につながっていく。(Vol.2)
- 経営
- キャリア
- 経営者インタビュー
- サイクラーズ 株式会社 代表取締役 福田 隆氏
社長に任命された日=経営者になった日ではありません。経営者がご自身で「経営者」になったと感じたのは、どんな決断、あるいは経験をした時なのか。何に動かされ、自分が経営者であるという自覚や自信を持ったのでしょうか。
明治35年創業の資源リサイクル会社、東港金属株式会社を4代目社長として28歳の若さで継いで、飛躍的に発展。廃棄物の処理・管理にとどまらず、使用済み・廃棄された物を無駄なく循環させるサーキュラーエコノミーの実現に向けて、グループ会社を統括するサイクラーズ株式会社 代表取締役社長 福田隆氏に3回にわたってお話をおうかがいしました。
(第1回はこちら)
最初は400万円の判断にも迷った。
父の急逝で、経営者としての心構えも十分にできる前に突然社長になった福田氏。
「まず、判断をするというのがこんなに重たいものなんだなというのが初めてわかりました。
今でも記憶にあるのは、当時、うちの会社に電気炉があったんです。電気で銅の鉾などを溶かして、青銅のインゴットの塊に造り直すような、そういう事業があったんです。社長になって最初のジャッジ・決済というのが、その電気炉のるつぼの交換だったのです。定期的に交換するもので、1個400万円するんですけれども、それを入れ替えていいですかと言われました。入れ替えないという選択肢は実はないんです。でも、400万円するものの入れ替えの判断をいざしろと言われると、本当にいいのかなと。
下から見ていたときは、何でこの人たちはこんなに判断が遅いんだろうとか、そういうふうにしか見ていなかったんですけど、いざ自分がジャッジするとなると、こんな簡単なことですら結構悩むんだなというのを、最初にすごく感じました」
定期的には替えているけれども、そのまま、ただリプレースすると、今後の他のビジネスなどにどう影響するんだろう。この400万円がベストな価格なのか。いろいろなことを、その立場になったら考えなければいけなくなったのである。
「その400万円は妥当なのかとか、それをいいということで資金繰りが回るんだろうかとか、何も判断する基準がその時の自分にはなかったんです」
400万円のるつぼの交換で迷った福田氏が、ジャッジに基準を持ち、自信を持っていくのは、どんなことを経たからなのだろうか。
「いくつもあって、例えば、営業活動を繰り返しやることで仕事は増えていくので、そこは自分の自信にもなりましたし、社内的にも、この社長は仕事を取ってくる人なんだと思われたというのがあります。
そして、その仕事を増やしていくためには、見積もりをしなきゃいけない...
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