TOP スペシャルコラムドラッカー再論 起業家的な2つ目の機能、「イノベーション」。

2021/12/13

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スペシャルコラムドラッカー再論

第296回

起業家的な2つ目の機能、「イノベーション」。

  • マーケティング
  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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前回、ドラッカーの基本思想でもある<起業家的な2つの機能>の一つ目として、マーケティングを見た。

 

「財やサービスのマーケティングを通して自らの目的を達成する組織は、すべて企業である。逆に、マーケティングが欠落した組織やそれが偶発的に行われるだけの組織は企業ではないし、企業のようにマネジメントすることもできない。」(『現代の経営』、1954年)

 

マーケティングは企業の必須機能だが、それだけでは企業は成立し得ない。企業は、変化が当然であり望ましいとされる経済においてのみ存在しうる。企業とは、成長、拡大、変化のための機関だ。

 

「したがって、第二の起業家的機能がイノベーションである。すなわち、より優れ、より経済的な財やサービスを創造することである。」(『現代の経営』)

 

企業は単に経済的な財やサービスを供給するだけでは充分ではない。より優れたものを創造し供給しなければならない。
企業にとって、より大きく成長することは必ずしも必要なことではないが、常により優れたものに成長する必要はある。

 

イノベーションは、価格の引き下げであってもよいし、髙くても新しく優れた製品の創造、あるいは新しい利便性や欲求の創造であることもある。更には、昔からの製品の新しい用途の開発であることもある。
食物を冷蔵するために冷蔵庫を売ることは、市場(顧客)の開拓である。一方、エスキモーに冷蔵庫を「食物の冷凍防止用」として売ることに成功したケースは、新しい用途の開発であり、技術的には同じ製品でも、経済的にはイノベーションであるとドラッカーは例示する。

 

「イノベーションは事業のあらゆる局面で行われる。設計、製品、マーケティングのイノベーションがある。価格や顧客サービスのイノベーションがある。マネジメントの組織や手法のイノベーションがある。」(『現代の経営』)

 

従ってイノベーションもまた、マーケティング同様、独立した機能と考えてはならない。イノベーションは技術や研究に限定されるものではなく、事業のあわゆる部門、機能、活動に関わるものである。イノベーションは生産に関するものだけではない。流通におけるイノベーションは生産におけるイノベーションと同じく重要だと、ドラッカーは念を押す。

 

「イノベーションについては、あらゆる部門において明確な責任と目標が必要である。もちろん販売、経理、品質管理、人事等の機能別部門は、意識的かつ明確な方向性をもって、それぞれにおける進歩発展に貢献する責任を持つ。しかし同時に、製品やサービスのイノベーションに貢献する責任をもつ。」(『現代の経営...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。