TOP スペシャルコラムドラッカー再論 ドラッカーが説く「事業とは何か」「企業の目的とは何か」。

2021/11/29

1/1ページ

スペシャルコラムドラッカー再論

第294回

ドラッカーが説く「事業とは何か」「企業の目的とは何か」。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >

 

 

事業とは何か。こんな問いに対して、ドラッカーはまず第一にとして、次のように述べている。

 

「企業は人が創造し、人がマネジメントする。企業は人以外の力がマネジメントするものではない。」(『現代の経営』、1954年)

 

なにを当たり前のことを。そう思うだろう。ドラッカーが言うと、なにやらありがたく感じるものでもあるが。

 

ここでドラッカーが言わんとしていることは、「マネジメントは事業を市場に適応させるだけである」という説への大いなる反論だ。今日的に言えば、AIによるオートマチックな判断で事業を進める仕組みについての否定とも言えるだろうか。

 

「マネジメントは、市場を見つけ出すとともに、自らの行動によって市場を生み出す。」(『現代の経営』)

 

既存の市場に適応するだけでなく、市場を発見し、行動し、生み出すというクリエイティブな行為は、人でしかできないというのは21世紀においても否定しようのない本質だろう。
そして第二に、こう言う。

 

「事業は利益の観点からは定義も説明もできない。」(『現代の経営』)

 

これはドラッカーの経営、事業に対するコンセプトメッセージとして非常に有名なフレーズだ。
事業とは何かを問われると、多くの経営者や識者、経済学者は「利益をあげるための組織」だと答える。が、この答えは間違いであり、それだけでなく的外れだとドラッカーは切り捨てる。

 

「もちろん、利益が重要でないということではない。利益は、企業や事業の目的ではなく条件なのである。また利益は、事業における意思決定の理由や原因や根拠ではなく、妥当性の尺度なのである。企業人の代わりに私欲のない天使が役員の椅子に座っても、利益については関心をもたざるをえない。」(『現代の経営』)

 

利潤動機やそこから派生する利益最大化の概念は、企業の機能、目的、マネジメントとは無関係だとドラッカーは念押しする。

 

「いや、そのような概念は無関係であるよりも、さらに悪い。害を与えている。それは利益の本質に対する社会の誤解と、利益に対する根強い反感の主たる原因となっている。そのような誤解と反感こそ産業社会にとっての病原菌である。

 

そらには、アメリカや西ヨーロッパにおいて、企業の本質、機能、目的を理解しない最悪の政策の原因ともなっている。」(『現代の経営』)

 

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならないとドラッカーは言う。

 

「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、...

こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。

プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。