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2021/11/23

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社長を目指す方程式

第78回

アイデアを実現するリーダーになる4つのステップを始めよう

  • キャリア
  • マネジメント
  • ビジネススキル
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸

 

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今回の社長を目指す法則・方程式:ティナ・シーリグ「インベンション・サイクル① 想像力=どっぷり浸かる+ビジョンを描く」

 

感染拡大「第6波」は懸念されるものの、長らく続いてきたコロナ禍も来年に向けて出口が見えてきつつあります。企業各社の次の局面に向けた水面下の動きが活発化していることを、経営層・幹部層の人材紹介、人材コンサルティングに携わる当社では、ここのところ非常に強く感じています。経営や事業の重要テーマにまつわる幹部人材の採用依頼、幹部体制強化のご相談が従来にも増して多く寄せられています。

 

ポストコロナに向けて、上司の皆さんにこれから求められるのは、次の時代への「非連続的」なジャンプです。足元の改善から事業の変革まで、上司の皆さんの「アイデアを形にする力」が試されます。そこで今回から数回、上司の皆さんが新しい価値、アイデアを生み、それを実現できるリーダーとなるためのヒント、ステップをご紹介していきます。

「インベンション・サイクル」を回せ

スタンフォード大学のティナ・シーリグ教授(工学部)によると、「こうありたい」と思い描く自分にたどり着くには、3つのことが必要だと言います。

 

まず必要なのが、起業家的な心構えです。起業家は、チャンスは身の回りに溢れていて、自分次第で道は拓けるものだと考えます。存在するルールのほとんどは「こうした方が良い」という推奨に過ぎない。世の中の常識や思い込みは疑ってかかっていい。そんなマインドを持つことが、描いた未来を実現できる人になるための基盤となるのです。

 

次に必要なのは、思い描く未来にたどり着く途中でぶつからざるを得ない問題を解決し、チャンスを活かすためのツールです。シーリグ教授は、それがクリエイティビティだと言います。クリエイティビティを高めるためには、観察力を磨き知識を増やす、バラバラのアイデアを結びつけ組み合わせる、ためらわずにアイデアを出せる環境を整える、実験を奨励する文化を育むなどが有効です。

 

最後に必要なのが、ひらめきを形にするための明確なロードマップです。

 

「アイデアを形にするまでのプロセスに必要なスキルには階層があります。はじめは想像力です。想像力がクリエイティビティを生み、クリエイティビティがイノベーションにつながり、イノベーションが起業家精神を呼び起こす」(『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』より)

 

「想像力」を起点に、「クリエイティビティ」「イノベーション」を経て「起業家精神」を発揮する。シーリグ教授は、この一連のサイクルを「インベンション・サイクル」と呼んでいます。それぞれの意味するところは、以下の通りです。今後の内容の理解のために、4つのワードの定義をぜひおさえておいてください。

 

「想像力」…存在していないものをイメージする力
「クリエイティビティ」…想像力を駆使して課題を解決する力
「イノベーション」…クリエイティビティを発揮して独創的な解決策を編み出すこと
「起業家精神」…イノベーションを活用してユニークなアイデアを形にし、ほかの人たちの想像力をかきたてること

 

「想像力」は、まず行動・インプットから

「想像力」とは、存在していないものをイメージする力です。シーリグ教授は、好奇心を持つこと、とにかくとことんやってみること、頭の中でアイデアを思い描くことなどが必要だと言います。そのためのインプットは多様であるほど良く、本を読む、映画を観る、音楽を聴く、人と会う、食事をする、スポーツをする・観る、旅をするなど、さまざまなものに触れるほど想像力は豊かになります。

 

好奇心を持ち、とことんやってみる――そんな情熱を注げるものが、自分にあるだろうか? そんなことを考えてばかりいる人がいます。シーリグ教授は、そんな彼らが見落としていることについて次のように指摘します。

 

「行動してはじめて情熱が生まれるのであって、情熱があるから行動するわけではない、ということです。情熱は初めからあるわけではなく、経験から育っていくものです。バイオリンの演奏を聴いたことがなければクラシック音楽は楽しめないし、ボールを蹴ったことがなければサッカーはうまくなれません。卵を割ったことがなければ料理好きにはなれないのです」(『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』より)

 

これに続いてシーリグ教授は、なかなか興味深いことを言っています。私たちは、人生のどの局面をとっても、最初から好きになる「一目惚れ」は滅多にないのだと。人でも職業でも何かの課題でも、深く知れば知るほど情熱を持つようになり、のめり込むようになるのだと。

 

これには私も非常に共感します。人材コンサルティングでよくお話ししているのですが、「自分探し」「天職探し」は非常に危険な行為にもなりかねないのです。何の答えもないものを探し続けて道に迷ってしまったり、「自分には見つからない」と落ち込んでしまったりする人が、実際に非常に多くいます。そんな<先に存在していない答え>を懸命に探すような無益な行為はきっぱり辞めて、シーリグ教授の言うように、まずは行動してみて、やってみる。そうして初めて自分に合った仕事が見つかり、それを深く知れば知るほど、それがいつしか情熱を注げる天職、ライフワークとなるのです。

 

未来を思い描く力の養い方

突然ですが、あなたは最近、何かをじっくり見たことがありますか?
無心に風景を見る、美術館で1枚の絵を数十分見続ける(館員の人に怒られるかもしれませんが)、本をじっくりと精読する――慌ただしい日々の中で、私たちは何か一つのことにだけ時間を費やすということをほとんどしなくなっています。

 

シーリグ教授は、未来を思い描く力を養う方法として「一つのことにどっぷり浸かってみる」ことをアドバイスしています。慌ただしい毎日、あえて1~2時間ひとつの絵を観たり、全てを忘れてゆっくり本を読んだり、映画を観たりしてみます。そして、そこで気づいたことをできるだけ多く挙げて、意味について考え、書き出してみましょう。

 

そして次に、自分の「夢の舞台」を妄想してみます。世界はいくつもの舞台が集まってできていると考えてみようとシーリグ教授は言います。舞台は「今いる場所」から「全世界」まで広がっています。いまあなたは、どの舞台にいますか? これから、将来、どの舞台で活躍したいですか? 自分の挑戦や夢を、遠慮なく想像する時間を設けましょう。

 

「大胆な未来を思い描く力は、個人と同じように、激しく変化する世界で生き残りを目指す企業にとっても重要です。グーグルなどの企業が想像力を使うことを奨励しているのは、このためです。よく知られているように、同社のCEOラリー・ペイジは、伝説になる可能性を秘めた月面着陸のような大胆なプロジェクト<ムーンショット>を熱心に後押ししています」(『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』より)

 

何か有意義なことを成し遂げたいと思うなら、まずは明確なビジョンを持つことだとシーリグ教授は言います。このビジョンは、自分自身の経験と分かちがたく結びついています。これが想像力の本質なのです。
自分のビジョン、それにまつわる明確な世界に積極的に関わることによって、課題やテーマとチャンスを見通すことができ、それにどう対処するかのイメージが湧いてきます。偉大なチャレンジ・事業はみな、想像力から始まっているのです。

 

*         *         *

 

想像力は才能やセンスではなく、身につけ強化できるスキルです。アイデアを実現するリーダーになるために、まずは自分の想像力を強化する時間の投資を、今日から始めてみましょう。

 

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この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。