TOP 社長を目指す方程式 敏腕上司は「4つのジンザイ」のタイプ別トリセツを使い分ける

2021/11/22

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社長を目指す方程式

第77回

敏腕上司は「4つのジンザイ」のタイプ別トリセツを使い分ける

  • キャリア
  • マネジメント
  • ビジネススキル
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸

 

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今回の社長を目指す法則・方程式:新将命さん他「4つのジンザイ」

 

上司が10人いれば、そのマネジメントスタイルも10通り。上司にも様々なタイプがあり、それぞれ指導やサポートのスタイルに違いがあります。それが上司の皆さんの個性とも言えますよね。「俺は、このスタイルで部下たちを育てる」「私は、このかたちで部下を成功させてあげたい」。皆さんの想い、ご自身の成功体験や反面教師となった人物、志向や好みなどから各々のスタイルができあがっています。
しかし、そんな想いとは裏腹に、実はそれ以上に重要なことがあります。それは、上司のタイプではなく、部下のタイプ別で指導やサポートのスタイルを変えることです。

「4つのジンザイ」タイプを理解する

「ジンザイには、人材、人在、人財、人罪がある」
こんな言葉を、マネジメント関連のセミナーや書籍、ビジネス系のサイトなどでご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。これは、伝説の外資トップ・新将命さん(経営コンサルタント、『経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目』の著者)などがよく紹介されている「4つのジンザイ」タイプです。
縦軸にスキルの「高」「低」を、横軸にモチベーションの「高」「低」を置き、四象限を作ります。その4つにこの4つのジンザイがプロットされます。

 

1)モチベーション・高×スキル・低=「人材」
やる気は十分、しかしスキルはまだない、あるいは不足している。素材としてのジンザイを意味します。いわゆる「新人」ですね。
新卒・第二新卒メンバー、あるいは中途でも未経験者を採用した場合。さらに社内での異動でも、ローテーション人事による職種転換で着任した人もここに当たるケースがあるでしょう。気持ち的にはとても良い、期待のメンバーですが、チーム運営上は手間のかかる存在ともいえます。マネジメントを間違えると、挫折してしまったりメンタルを崩したりしてしまうので、さまざまな角度からケアが必要です。

 

2)モチベーション・低×スキル・高=「人在」
スキルはあるが、やる気には問題あり。あるいは「問題あり」とまではいかないまでも、積極的に仕事に取り組むとは言い難いメンバー。言われればやるが、言われないとやらない人を指します。皆さんのチームには、いらっしゃいますか?(いないと良いですが。)
典型的な指示待ちタイプですね。これには、そもそもの本人の性格によるものの場合も多いですが、なんらかの組織内での関係性(上司と部下との人間関係、同僚との付き合いなど)が影響を及ぼしそのようになっているケースもあります。いずれにしても、あなたがチームの活力を上げようと思っているなら、少し注意する必要があるタイプです。

 

3)モチベーション・低×スキル・低=「人罪」
やる気もスキルも不足している人。上司の皆さんが、最も頭を抱える悩ましい存在が、このタイプなのは言うまでもありません。
せめてじっとしていてくれることを願うものの、それどころかチームの足を引っ張る・害をまく…。特に中高年代の社員で問題となるのが、このタイプです。最初からスキルがないというよりも、時代と環境の変化についていけず“負債人材化”してしまうケースが多いように思えます。最悪の場合、こうした人たちはリストラ対象者となってしまいます…。

 

4)モチベーション・高×スキル・高=「人財」
逆に上司の皆さんにとって、最もありがたく、頼りになるのがこのタイプ。チームにひとり以上いてくれたら、大感謝です。
やる気もスキルも高く、会社を牽引するリーダー人材。あなたの良き参謀ともなってくれる希少人材です。絶対手放してはなりませんが、一方では会社全体で社員たちのキャリアパスを描き人事異動をしていこうというときに、上司の皆さんが自分のところから「抱えて出さない」ことが問題になることも少なくありませんね(笑)。

 

4つのジンザイに適切に繰り出すべき5つのサポートタイプ

このように、皆さんの部下たちは4つのジンザイに分類できますが、ではそれぞれのジンザイに対して、どのようなマネジメントをしていけばよいのでしょう?
ここでもうひとつ、上司の皆さんにぜひ覚えておいていただきたいのが「5種類のサポートタイプ」です。
サポートの仕方には、「ティーチング(教える)」、「カウンセリング(悩みを聴く)」、「モチベーティング(動機づける)」、「コンサルティング(解決策を提案する)」、「コーチング(壁打ち相手)」の5つがあります。これをジンザイ4タイプそれぞれに対して、適切に使い分けていくことが重要なのです。

 

「人材」=新人には、ティーチングとカウンセリングを使いましょう。
まずしっかりと業務を教えてあげ、スキルを身につけてもらうこと。業務に取り組む過程で、悩みを聴いて相談に乗ってあげることです。上司の皆さん自身がティーチングとカウンセリングを行ってもいいですし、その役割を担える先輩社員たちに任せるのも効果的です。「人材」にコンサルティングやコーチングをしてしまいますと、逆に混乱させたり、モチベーションを落としてしまうことが少なくありませんのでご注意を。

 

「人在」=指示待ちタイプには、カウンセリングとモチベーティングを使います。
スキルはある、もしくは高い人ですから、その力をどう使うと自身にとって良いことなのか。あるいはその人の中に眠っている(はずの)やりがいやテーマを顕在化させる。はたまた、何か人間関係や組織上の配置がその人のやる気を落としてしまっている可能性もあるので、カウンセリングで悩みをしっかり聴いてあげたりしながら、戦力化、他のチームメンバーたちとの協働を促しましょう。

 

「人罪」=リストラ予備軍には、いきなりレッドカードを切ることだけは絶対にやってはいけません。
まず一度、イエローカードをしっかり切る。「このままだとあなたは、この会社で戦力となり続けることは難しい。○○までに、△△ができるようになってください。もしできなければ…」という握りをしなければいけません。その上で、ティーチング・カウンセリング・モチベーティングで対応です。その過程で働きぶりを見つつ、期限までに最終的な判断をしましょう。難しければ、別の道に進んだほうが当人にとっても良いということを、人事などを交えてしっかり話し合うというステップですね。
上司の仕事の中で最もしんどいことの一つが「人罪」への対応ですが、上司であれば誰もが経験しなければならないことでもあります。乗り切りましょう。

 

最後に、「人財」=リーダーには、コーチングです。
上司と「人財」とで、対等なパートナー、同志としての信頼関係が築かれている際には、お互いの具体的意見をぶつけ合う観点でコンサルティングも積極的に使うと良いですが、経験や世代が一定以上離れている上司部下の関係であれば、育成観点ではコンサルティングは極力使わないほうがよいです。基本的にコーチング一本で、「人財」部下が隘路にハマったり、納期に間に合わないなどの際のレスキュー策が必要なときにだけ、コンサルティングを使いましょう。
「人財」部下に気をつけたいのが、彼らに対してティーチングやカウンセリングを使うこと。これらを使うことは、逆に彼らのプライドを傷つけたり、分かっていることを言われることで上司の質を疑われるような結果になりかねません。信頼できるリーダーには、任せ切ること。何かあれば、彼らの方から相談してこれるような関係性を築くことです。

 

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4つのジンザイタイプと5つのサポートタイプの適切な掛け算は、上司の皆さんにとって、王道であり最強のマネジメント法です。逆に4つのジンザイタイプと使うべきサポートタイプの掛け合わせを間違えると、「新人」を潰してしまったり、「指示待ち」を腐らせたり、「リーダー」のモチベーションを削いだりすることになることをご理解いただけたでしょう。(これまで、間違った対応をしていたりしませんでしたでしょうか?)
繰り出す技を間違えることは、組織活性化の最大の敵であり、正しく技を繰り出せば、あなたのチームは活力あり、成果を上げ続ける頼もしいチームへと育っていくでしょう。部下のタイプ別にサポート技を繰り出せる上司が、組織の場を支配できる、ゆくゆく社長になる人です。

この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。