TOP とことん観察マーケティング 業界を支えてくれている人々のことに思いを馳せる

2021/11/04

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とことん観察マーケティング

第60回

業界を支えてくれている人々のことに思いを馳せる

  • 経営
  • マネジメント
  • 有限会社オフィスフレンジー 代表 野林 徳行氏

野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。

 

60回目のコラムです。『カスタマーを知る』ことの大切さを毎回書かせていただいています。多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先しています。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。今回は、ある劇団の主幹の方とオンラインで話す機会があり、そこで改めて理解したことを共有します。

 

渾身の芝居を観に行く予定でした

先月までは、長きにわたる緊急事態宣言により酒の提供がNGとなり、飲食店がどう困るかというニュースがずっとテレビから聞こえていました。対策を怠ったフェスのせいで多くの努力をしてきた音楽業界の方々を苦しめています。私が楽しみにしていた劇団の芝居についても、行政から劇場へ通達があったり、お客様からの問い合わせやキャンセルなどが重なったりして、延期が続いていました。

 

お誘いいただいた劇団の方は旧知の仲で、一緒に年1回DEEP PURPLEの曲などを演奏するバンドで共演させていただいています。彼のデザイナーの奥様もよく知っていて、長いこと顔を見ていないのでオンラインで近況を語り合いました。奥様が教えている美大の授業のこと、私が教えている高校の授業のこと・・・そしてご本人がちょっと遅れて参加されましたので、「今回の延期残念ですね・・・」から会話がスタートしました。演劇は、稽古に稽古を重ねてストーリーを磨き、出演者の息を合わせていきます。開演日にかなりベターな状態に仕上げ、公演中にブラッシュアップしていきます。「公演の中止というのはコロナ禍でなくてもあり得る話ですが、雲行きが怪しくて覚悟している場合と、ぎりぎりまで来て中止になるのでは、役者のモチベーションは全く違う」とのことなのです。

演劇に限ったことではないと思いますが、私のようなものがやっている講演とは全然レベルが違うと思います。役者の皆さんは、稽古に打ち込んでいることもあり、ただし、まだ役者としての収入では生活できないため、アルバイトをしている人が多くいます。公演に向けて稽古しているときはアルバイトのシフトを減らして打ち込みます。アルバイトをしている役者の方々の職場は飲食店が多いようです。

 

コロナ禍では、公演が中止になっても飲食店のシフトが復活することはなく、困惑している人も多いと聞きました。また、劇場からは「延期ということにしてキャンセル料は取らないから、落ち着いたら公演してください」と言っていただいたとのことです。経営も苦しいと思いますが、役者たちを、そして文化を守るという熱い心がそう発言させているのだなあと思います。「...

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プロフィール

  • 野林 徳行氏

    有限会社オフィスフレンジー 代表

    1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1987年リクルート入社。経営企画、事業戦略、商品企画、プロモーションプランニングなどを担当し、カスタマーを知ることに徹底的にこだわった行動で各事業の業績向上に寄与。ブックオフコーポレーションへの出向を経て、2003年ローソン入社。執行役員としてマーケティング、エンタテイメント、商品開発を担当し、数々のヒット企画を生み出した。2010年ローソンエンターメディア代表取締役社長に就任。2012年レッグス入社。CMOとしてキャラクターを活用した販売促進を強化。2016年FiNC CMO就任。人工知能を活用したヘルスケアアプリのマーケティングを推進。現在はブックオフコーポレーション取締役、高木学園マーケティング講師、NewsTV取締役など。著書「とことん観察マーケティング」をベースにした講演・研修を実施中。