TOP スペシャルコラムドラッカー再論 マネジメントの3つの機能:第1の機能<事業のマネジメントとは目標によるマネジメントである>

2021/10/25

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スペシャルコラムドラッカー再論

第289回

マネジメントの3つの機能:第1の機能<事業のマネジメントとは目標によるマネジメントである>

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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マネジメントを構造化、体系化し、我々に伝えてくれたドラッカー。
しかしそのドラッカー自身は、マネジメントは厳密な意味における科学にはなりえないと言っている。

 

「確かにマネジメントの仕事は、体系的に分析し分類することができる。つまりマネジメントには、特有の科学的かつ専門的な側面がある。事業のマネジメントは、勘や才能で行うものではない。マネジメントを構成する諸々の要素は、分析し、体系的に組織し、普通の人間ならば誰でも学習できるものにすることができる。」(『現代の経営』、1954年)

 

実際、ドラッカーは『現代の経営』を執筆したのは、マネジメントの原則の体系的な研究、知識の体系的な習得、あらゆる分野とレベルにおける仕事の体系的な分析によって、事業そのもののマネジメントの仕事が改善可能であるという考えに立ったからだと述べている。

 

「それにもかかわらず、マネジメントを評価する究極の基準は、事業上の成果である。知識ではなく、成果が当然の基準であり、目的である。言い換えるならば、マネジメントは、科学や専門職業の要素を含んではいても、そのいずれでもなく、あくまでも実践である。」(『現代の経営』、1954年)

 

つまりは、マネジメントとは、その仕事に資格や免許を与えることや特別の学位をもつ者だけに役割を与えるようなものではない。マネジメントを専門職化することほど、経済と社会に害をもたらすものはないとドラッカーは言いきる。
事業以外の能力の有無にかかわらず、事業上の仕事ぶりに優れた者に充分仕事をさせることこそ、優れたマネジメントの証明だ、と。

 

「マネジメントを科学や専門的技能として位置づけるあらゆる試みが、経済の攪乱要因の除去、すなわちリスクや好不況、競争、消費者の不合理な選択などの予測不能なあらゆる要員の除去の試みへとつながり、いつの間にか経済の自由と発展能力の阻害へとつながる。」(『現代の経営』、1954年)

 

マネジメントの責任は、あくまでも経済的な成果をあげることにあり、経済的な責任を果たすうえで必要とされる以上の権限をもちえない。そうドラッカーは念押しもしている。
事業上の成果に関わる責任を超えて、市民や市民の私事に介入することは、権限の濫用であると。
財界のリーダーと、社会・政治の世界のリーダーとは、立ち位置や役割、責任の範囲が異なるので、勘違いをしてはならないとドラッカーは諫めている。当時、そのようなリーダーが散見されたのだろうし、現在にあっても、財界団体の中での主要人を中心とする振る舞いには、もしかしたらこうした混同はいまだ見受けられるようにも感じる。

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。