TOP 日本全国注目社長! 広大発ベンチャー。経験と対人能力が研究の出口をつくる。【後編】

2021/10/12

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日本全国注目社長!

第6回

広大発ベンチャー。経験と対人能力が研究の出口をつくる。【後編】

  • 日本全国注目社長!
  • 奥原 啓輔氏 プラチナバイオ株式会社 代表取締役 CEO 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター 客員教授

 

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シリーズ「日本全国注目社長!」
プラチナバイオ株式会社の後編は、あまり知られていない大学発ベンチャーのビジネスモデルや成長戦略、そして気になるゲノム編集ビジネスの事例やその先に広がる未来の可能性について伺いました。「ビジネスをドライブさせる」という目的が明確だからこそ、人の役に立つ技術やプロダクトの開発に純粋に打ち込むことができる。そして、新しい技術が世の中に浸透するまでには、幅広い分野の専門家の言葉を理解できる “翻訳者”の存在が必要なのだと実感できる奥深いお話です。

(前編はこちら

 

 

 

(聞き手/井上和幸)

 

ゲノム編集ならではのプロダクト すでに世に出ているモノは?

後編ではまず、ゲノム編集でいま現在、
どのようなことがおこなわれているのかを説明したいと思います。

 

「ゲノム編集」と聞くと、キメラ(※)の様な新しい生物を生み出すことをイメージして不安を感じる人もいるかもしれません。実際に、中国の研究者が双子のゲノム編集ベビーを誕生させた時は世界中に衝撃が走りました(2018年)。

 

※キメラ=1個体に遺伝子情報の異なる複数種の細胞がある状態のこと。またはその個体。ギリシャ神話に登場する頭部は獅子で胴体は山羊、毒蛇の尾をもつ“キマイラ”が由来。

 

けれど、あの出来事をきっかけに、「ゲノム編集で何を作っていくべきなのか、逆にやってはいけないことは何なのか」といったことをみんなで議論し、ルールを決めることが大事なんだと認識されるようになったと思います。

 

酵母や微生物に有用な遺伝子を移植して増殖させ、貴重な工業物質として利用するといったことはいまもすでにおこなわれています。
例えば、漢方薬の原料となる有効成分を持つ植物があったとき、その植物の中には、その物質をつくるための代謝経路が存在します。その経路が特定された場合に、それを酵母や微生物にまるごと移植して高生産することもできるわけです。

 

デザイナーベビーは世界的な波紋を呼ぶ神の領域になってしまいますが、酵母をデザインすることはこれまでも産業上利用されており、抵抗を感じる人は少ないと思います。バイオの力をかりて人の役に立つ“物質”をたくさん作っていくイメージと言えば伝わりやすいかもしれません。

 

稀少な成分を持つ植物をたくさん育てるのは大変でも、経路を移植した酵母や微生物を、リアクターのようにしてタンクの中などで大量に培養することは容易です。こうして作った物質を医薬品に使ったり、これまで石油を化学合成して作っていた物質を生物の力で作れるようにおきかえていったりといった事例は、今後...

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プロフィール

  • 奥原 啓輔氏

    奥原 啓輔氏

    プラチナバイオ株式会社 代表取締役 CEO 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター 客員教授

    1977年大阪生まれ、奈良育ち。広島大学へ進学し、広島との地縁ができる。バイオ研究者を志し大学院に進学するも挫折、研究者の道を断念し、2006年、科学技術振構機構(JST)に入構。数々の産学連携プロジェクトに携わり、アカデミアの研究シーズを企業へ橋渡しする役割の重要性を感じる。その後、内閣官房(知的財産戦略推進事務局)等を経て、2012年に東広島市役所に入庁。2016年に広島大学に派遣され、産学連携支援業務に従事。ゲノム編集のトップランナー・山本卓(広島大学ゲノム編集イノベーションセンターセンター長・教授)と共に、OPERA「ゲノム編集」産学共創コンソーシアム(2016-2020)、COI-NEXT「バイオDX産学共創拠点」(2020-)を構築・運営。研究成果の社会実装を加速する大学発ベンチャーの必要性に気付き、文部科学省EDGEプログラム、JST社会還元加速プログラム(SCORE)等を通じて起業家となる。2019年8月、「プラチナバイオ株式会社」を山本卓と共同創業し、代表取締役CEOに就任。2021年4月より、広島大学ゲノム編集イノベーションセンター客員教授を兼任。

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