TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業家社会とは継続学習社会である。

2021/10/04

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スペシャルコラムドラッカー再論

第286回

企業家社会とは継続学習社会である。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ドラッカーは、革命は一気に起き、世界を一変させるが、その後に残るのは失望と苦しみだと述べている。

 

「ジェファーソンの時代以降明らかなように、革命は解決にはらない。革命は、構想することも、方向づけすることも、コントロールすることもできない。しかもそれは間違った者に権力を与える。さらに悪いことに当然のことのように結果が約束の逆となる。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

フランス革命は、革命に対して批判する反対派の人間を多数処刑しまくるという「恐怖政治」を生み、ロシア革命は、土地耕作者に対する農奴制や秘密警察、腐敗し硬直した強圧的官僚システムを生んだ。
私たちが最近目の当たりしたものの革命事例としては、ジャスミン革命が記憶に新しいだろう。チュニジアに端を発した革命はエジプトなどほかのアラブ諸国へも広がり、各国で長期独裁政権に対する国民の不満と結びつき、数々の政変や政治改革を引き起こした。いわゆる「アラブの春」だ。この革命で政治の安定化と経済的豊かさがもたらされるだろうという希望で大きく報道されたが、あいにくその後に起きたことは真逆の更なる経済の不安定化(物価の高騰)とテロ組織の横行だった。

 

「われわれはすでに、革命が幻覚だったこと、幻想、偽りの神話だったことを知る。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

そもそも革命は、成熟による腐敗、破たんから起こる。自己革新の失敗から起こる。私たちは、あらゆる理論や価値観、その他、人の心と手によるあらゆるものが年をとり硬直化し、腐敗化し、苦しみに変わることを知っている。

 

「かくして、経済と同様に社会においても、あるいは事業と同様に社会的サービスにおいても、イノベーションと企業家精神が必要となる。イノベーションと企業家精神が、社会、経済、産業、社会的サービス、企業に、柔軟性と自己革新をもたらすのは、まさにそれが一挙にではなく、この製品、あの政策、あちらの社会的サービスというように段階的に行われるからである。青写真ではなく機会やニーズに焦点を合わせるからである。暫定的であって、期待した成果、必要な成果をもたらさらなければ消え去るからである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

私たちが必要としているのは、革命ではなく、イノベーションと企業家精神が当たり前のものとして存在し継続していく企業社会だ。それを提示するために、ドラッカーは『イノベーションと企業家精神』を書いたと述懐している。

 

「企業家社会は継続学習を必然のものとする。(中略)企業家社会では、成人後も新しいことを一度ならず勉強することが常識となる...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。