TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「専門市場戦略」のメリットとジレンマ。

2021/09/13

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第283回

「専門市場戦略」のメリットとジレンマ。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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前回、「専門技術戦略」を紹介したが、次に「専門市場戦略」についてドラッカーは述べている。

 

「専門技術戦略が製品やサービスについての専門知識を中心に構築されるのに対し、専門市場戦略は市場についての専門知識を中心に構築される。他の点については両者はほとんど同じである。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

技術的には同様のものを持っているにもかかわらず、特定の市場を占有しているプレイヤーはどの業界にも存在している。業界特化型のソリューション会社(人材系でも多く存在している)や「離婚専門」「相続専門」の士業などもそうだろう。テーマ型・市場専門型で名を馳せている占有プレイヤーが各処にいらっしゃる。

 

「専門市場は、「この変化には、ニッチ市場をもたらすいかなる機会があるか。他に先がけてそれを手に入れるには何をなすべきか」を徹底的に問うことによって手にできる。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

専門市場の地位には、専門技術の地位と同様に厳しい条件が伴うとドラッカーは言う。
第一に、新しい傾向、産業、市場について、常に体系的に分析を行っていかなければならない。
第二に、たとえ小さな工夫に過ぎなくても、とにかく何らかのイノベーションを加えなければならない。
第三に、手に入れた地位を維持するには、製品とサービスの向上、特にサービスの向上のために休まず働かなければならない。

 

「専門市場の地位にも専門技術の地位と同じように限界がある。専門市場の地位にある者にとって最大の敵は自らの成功である専門市場が大衆市場になることである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

専門市場の地位獲得に成功し、その市場が拡大すると、それがいつの時点でか、マスの市場となり競争激化することは、我々経営者が身をもって知っていることでもある。
高級アイスや高級コスメ、高級ブランド品が、そのすそ野を広げていくと、必ず陥る大衆化で直面するジレンマは、この専門市場戦略における永遠の課題だ。

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。