2021/07/21
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とことん観察マーケティング
第55回
明るく、激しく、新しく、そして美しく!輝く女子プロレス団体スターダム
- マーケティング
- 野林 徳行氏 有限会社オフィスフレンジー 代表
野林徳行です。「KEIEISHA TERRACE」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいております。
55回目のコラムです。『カスタマーを知る』ことの大切さを毎回書かせていただいています。多くの企業では、『カスタマーを知る』ことが大事と言いながら、足元の数字を優先してしまいがちです。足元はもちろん大事ですが、カスタマーを知ることで既存事業のPDCAは回りやすくなり、新規事業の立ち上がりは早くなります。または修正が小さくなります。今回は、日本の女子プロレス団体の最高峰といわれる「スターダム」の後楽園ホール大会に行ってきましたので、そこで感じたことを企業の人材育成と照らし合わせて書きたいと思います。
スターダム
この団体のキャッチフレーズは、「明るく、激しく、新しく、そして美しく!輝く女子プロレス団体」。過去女子プロレスといえば、クラッシュギャルズや、ダンプ松本、ブル中野、ジャガー横田、北斗晶といった昔を知らなくても今もタレント的に有名なレスラーたちが一世を風靡していたことが思い起こされます。
健気な正義チームと、悪を尽くす悪役軍団が抗争しながらファンを煽っていくスタイルでした。この全日本女子プロレスが崩壊し、新しいうねりも含めてたくさんの団体が乱立することになります。週刊プロレスの団体紹介を見ると、スターダム、OZアカデミー、センダイガールズ、アイスリボン、WAVE、ディアナ、我闘雲舞、SEAdLINNNG、アクトレスガールズ、東京女子、PURE-Jと実に11団体もあります。さらに、各団体の台所事情も明るいものではなく、フリーの選手も多数存在します。そして、男子団体の女子部という存在もあり、プロレス界にありがちな散財が起こっています。
そんななかでスターダムは、技のクオリティ、ユニット抗争、美しい選手のスカウト・育成を進めているトップランナーです。新日本プロレスをM&Aしたブシロードがそこに目をつけ、スターダムも傘下に収めました。ブシロード会長の木谷さんは、当時「世界のトップ団体であるWWEは、男子のプロレスも女子のプロレスもそれぞれのストーリー設定の下、1つの興行で行われ、そのパッケージで世界をツアーしている。それが世界標準の考え方だが、日本は遅れている。世界と太刀打ちするなら重要なことである」とお話しされていました。すでにアニメやゲームで世界と勝負しているブシロードですから、視野が世界に及んでいます。
ことプロレスについていうと、アメリカはエンターテインメント路線のストーリーである一方、日本は闘いのストーリーが強いのです。実は、世界のプロレスラーは、日本のプロレス配信で勉強している人も数多くいるくらいです。新日本プロレスが、ブシロード傘下に入り、配信ビジネス、グッズビジネス、レスラーキャ...
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