2021/08/20
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KEIEISHA TERRACEセミナー ナレッジライブラリー
第21回
【大塚寿氏×井上和幸】日本初の<営業の参考書>、その中身を一挙紹介!
- 組織
- マネジメント
6月18日、『営業サプリ式 大塚寿の「売れる営業力」養成講座』出版記念トークライブ 営業部長・営業マネジャーのための<いま売れる営業>を科学する!――がオンラインで開催されました。
営業力の強化は、どの企業にとっても避けて通れない課題。強い営業組織をつくるにはどうすればいいのか、日々頭を悩ませている経営者や営業責任者も多いのではないでしょうか。
今回のトークライブは、1兆円超の発電所案件、ITソリューション、総合人材サービス、半導体、自動車、フルコミッションの外資系生保まであらゆる業種業界の営業研修を担当してきた大塚寿氏(エマメイコーポレーション代表取締役)をゲストにお迎えし、営業パーソン158万人が学んだオンライン営業講座【「営業サプリ」式】の書籍化記念トークライブとして、弊社代表取締役社長・CEO井上和幸と語り合っていただきました。本記事ではその一部を抜粋・編集して、2回にわたってお届けします。
日本初の<営業の参考書>、その中身を一挙紹介!
井上 早速ですが、まずは新刊『営業サプリ式 大塚寿の「売れる営業力」養成講座』の内容をご紹介ください。
大塚 営業研修の実況放送風になっていて、STEP1、STEP2、STEP3と各営業プロセスごとに分かれています。まずSTEP1では、アプローチ準備、アプローチ、商談、ヒアリング、企画提案、プレゼン、クロージング、トラブル処理、クレーム処理、社内営業などの各営業プロセスごとにつまずきやすいポイントのベスト3を選び、それに対して短い回答をしています。その後にSTEP2で細かく丁寧な解説を展開していく流れになっています。
テレアポなどのトークについては、STEP3でさらに細かく紹介しています。例えば、新規で電話をかけたら「まずは資料を送ってください」「興味があったらこちらから電話をかけますから」というような断り文句に対してどう対応するのか、具体的なやりとりを掲載しています。
井上 あらゆるものが体系的に整理されていて、全体のプロセスも、各プロセスの方法論も非常にわかりやすく書かれていますね。個人的には、法人と個人向けの営業のプロセスのカテゴリーを分類してくれていたので、とても役に立ちました。
大塚 ありがとうございます。実は、自社や自部門の営業力をどうやって強化しようか考えたときに、営業力を向上させるというだけではフワッとしすぎているんですね。どこをどう変えれば、短期間で少ない労力で営業力を上げられるかに焦点を合わせる必要があります。そのためには自分の会社の営業特性を知らなければいけません。
井上 そこのところを特徴ごとに、各論で分けているということですね。
大塚 はい。例えば、薄利多売でどんどん流す量産型と、一社に張り付いてじっくり物をつくり上げていく受注生産型では、かけられるコストや時間も全然違うので、営業効率も変わってきます。価格帯も十万円単位と百万円単位と数千万万円以上の単位のものでは売り方が違いますし、個人の場合には営業経緯も能動的にやるのか紹介で訪問するのかで全然違います。そういうところをより分けて、自社のどこが弱いのか、どこを強化すると短期間で合理的に営業力を強化できるのか。その特性を知ることが大事です。
井上 自社や自部門がどのパターンにあたるのか、具体的に認識することが重要だということですね。
大塚 そうです。個人の営業でも、形のない生命保険を売る、あるいは数千万円のマンションを売る、数百万円の車を売るといったように、価格帯によってかけられる時間とコストが変わってきます。
井上 それなりに経験を積んできた方が違うプロットのところに移った場合には、いかようにでも動けるものなのでしょうか。例えば、数億円のものを扱ってきた方が数百円のものを扱うとか、プロダクトの販売で経験を積んできた方が受託型の営業に移るといった場合です。
大塚 「いかように」とはいきません。法人の生命保険を売ってきた方が、個人向けの生命保険に移るのはありだと思いますが、生命保険の営業をやっていた方が、ITの営業に転身するのはなかなか難しいと思います。
井上 一般的に業種・業態の違いなどは大きいと思いますが、営業を科学するという視点では、それぞれの営業特性のパターンが違うからということですか。
大塚 そのとおりです。同じ営業として括られていたとしても、例えばBtoBはプロに対する営業で、BtoCはプロが素人に対する営業です。ですから、ロジックがまったく変わってきます。BtoBは下手をするとお客さまの方がよっぽど詳しいので、話が展開してくると自社の技術者やSEを連れて行かなければいけないことになる。その場合には、もしかするとお客さまへの営業よりも、どれだけの技術者やSEがアサインできるかという社内営業のほうが受注のポイントになることもあります。
営業のスタイル、種類を全網羅!
井上 「営業のスタイル」というものがあるということですが。
大塚 「営業のスタイル」として9種類を紹介しておきます。
①説明系は、ソリューションや製品について、説明していくことを柱にしている営業です。②聞き上手系(寄り添う系)は、お客さまの課題やその背景など、お客さまのさまざまな話を寄り添って聞いて解決策を提案していく営業です。③連絡係系は、お客さまと自社の技術者などの連絡係。メーカーやIT企業にはこのタイプの営業がかなりの数います。また、④御用聞き系は、お客さまを訪ねて「何かありませんか?」とルートセールス的に聞く営業です。⑤提案系(コンサル系)は、提案や解決策が差別化のポイントになる営業です。
そこからさらに進化して、最近は⑥共創系の営業が出てきました。これは御用聞き系や提案系の先にあるもので、お客さまと一緒に何か価値のあるものをつくり出す営業です。⑦技術知識系は、エンジニアリング系など技術知識をメインに営業していきます。⑧受動系(受身系)は、お客さまからどんどん見積依頼が来て、その見積依頼に対応する営業です。逆に自分で仕掛けてとりにいく⑨能動系の営業もあります。
井上 「営業の種類」も分類できるそうですね。
大塚 はい。まず①BtoBとBtoCがあります。両者はプロセスは一緒ですが、ロジックはまったく違います。②ルートセールスと新規開拓。新規開拓は難易度が高く、最近は力のある人が担当するようになっています。③アカウント営業、プロダクト営業、ソリューション営業、エリア営業。アカウント営業はいつもの取引先をメインにする。プロダクト営業は自分が担当する製品をメインにする営業です。また、ソリューション営業はお客さまとのやりとりで課題を聞きだし、担当のソリューションを売り込みます。それに対してエリア営業は、地方の場合にはアカウントも、ブロダクトも、ソリューションもカバーすることがあるし、商材や営業特性によっても変わってきます。
④ラージアカウント営業とエリア営業。規模が大きい重点顧客をメインにするのがラージアカウント営業で、大きな取引先は自治体と銀行ぐらいしかない広いエリアを数名で回るような営業がエリア営業です。⑤物件営業とエリア営業。物件営業は大きな建物などの物件ごとに追いかけていく営業で、エリア営業はそうした物件以外にもさまざまなものが混在している営業です。
最近増えているのが⑥インサイドセールスとフィールドセールス。インサイドセールスは社内にいながら、ホームページで問い合わせのあったお客さまに電話をかけて、何とかお客さまのニーズをつかんで商売になるところまでを担当し、そこから先はフィールドセールスに引き継ぎます。フィールドセールスは実際にお客さまのところに行き、営業を開始します。いわば営業の役割分担をするもので、営業の効率化と営業パーソンを疲弊させて潰さない効果があります。
「スゴい営業方法」がなぜ役に立たないのか?
井上 営業について学ぶには、現場での実戦(OJT)、社内での営業研修、社外の営業関連セミナー、部や課の中で開催する営業勉強会などがありますが、複数いろいろな機会を使ってみたほうがいいということですか。
大塚 ええ。それらを多頻度でやった方がいいと思います。一つとして無駄になることはありません。OJTについては、ブラザー制やシスター制のように1対1の制度を採用している企業が多いと思いますが、5人ぐらいの先輩の営業を見せる方がいいと思います。
井上 よく聞くのは、ある方の下にいたときは全然ダメだったけれど、別の方の下に移ったら花が開いたという話ですね。
大塚 おっしゃるとおりです。選択肢があった方が絶対にいいんです。若い方に「こうやれ」と言っても、そのやり方が合うとは限りません。選択肢を示してあげれば、自分に合ったやり方が選択できるわけですから。
あとはヒントとして、他社の営業を見る機会をつくるのがいいと思います。例えば、自分の友人、知人の会社に行って「自分のところの営業を見せるから、お宅の営業も見せて欲しい」と交換するんです。ロールプレイングですよね。実際に営業の場面を再現してもらって、それを見せ合う。私も新人のときに、野村證券、富士ゼロックスのトップセールスの方のロールプレイングを見ましたが、とても良い体験でした。
井上 「スゴい営業方法」がなぜダメなのか、ぜひお聞かせください。
大塚 はい。実は、スゴい営業は再現性が乏しいんです。属人的過ぎてしまって、スゴいとは思うけれど、自分にはとても真似できそうにない。それで終わってしまいます。天才の話になってしまって普通の人にはわからない。それでは、組織の中ではなかなか価値が出てきません。
さらに言えば、スゴい営業を言語化できるのは100人に1人といわれていて、しかも文章にしたり体系化できる人は、1万人に1人しかいないといわれています。極めて難しいんです。自分は感覚的にやっているから、「何でこれができないの?」ということで、教えられない。だから、共有化できません。
(構成・文/田中宏明)
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