TOP スペシャルコラムドラッカー再論 トップマネジメント・チームを構築する意味、方法。

2021/07/12

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第275回

トップマネジメント・チームを構築する意味、方法。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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市場においてしかるべき地位を確立し、しかるべき資金も手当てした。しかるべき資本構造とマネジメント・システムも確立できた。
それなのに、数年後に深刻な経営危機に陥る。まさに確立した事業体として成功し、自社が「立派な成人」となったと思われたまさにそのときに、理解できない苦境に立つ。
製品・サービスは一流、見通しも明るい。なのに事業は成長しない。収益や財務体質面で成果があがらない。

 

「原因は常に同じである。トップマネジメントの欠落である。企業の成長がトップ一人でマネジメントできる限界を超えた結果である。いまやトップのチームが必要である。実際にはそのときすでに適切なチームがなければ手遅れである。生き延びることで精いっぱいになる。たとえ生き延びたとしても、不治の機能不全に陥るか少なくとも数年は出血が止まらない。志気は衰え、従業員は幻滅し、熱気は失われる。事業をつくり築き上げてきた創業者は追い出される。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

対策は簡単である。トップのチームを前もって構築しておくことだ。
チームは一夜にしてはならず、機能するには時間がかかる。相互理解と相互信頼が欠かせない。そのためには数年を要する。ドラッカーは「経験上、3年はかかる」と断言している。

 

小さなベンチャーや中小企業が最初から豪勢な顔ぶれと人数のトップマネジメントチームを抱えることはもちろんできない。
どうすればよいか?

 

「第一に、創業者自身が事業にとって重要な活動について主な人たちと相談しなければならない。存続と成功がかかっている活動は何か、何が重要な活動かについてはあまり異論はないはずである。しかし意見の違いや対立がある場合には徹底的に検討しなければならない。重要な活動として挙げられたものはすべて検討の対象にしなければならない。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

あらゆる組織に共通する重要な活動は2つだけ。人のマネジメントと資金のマネジメントだ。
それ以外の活動は、事業や仕事、価値観や目標を内部から見ている人たちが決めなければならない。

 

「第二に、創業者など主な人たちの一人ひとりが、自分が得意とするものは何か、他の人たちが得意とするものは何かを考えなければならない。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

このときも、それぞれが得意とするものについては考えが一致するはずである。一致しない点はすべて検討の対象として取り上げなければならない。

 

「第三に、それぞれの強みに応じて、誰がいずれの活動を担当すべきか、誰がどの活動に向いているかを検...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。