2021/06/16
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イマ、ココ、注目社長!
第149回
「ビジネス×アカデミア×スタートアップ」の経験をもとに起業。キーワードはAI技術を使ったイノベーション。機械にできる領域が増えるからこそ、人間の「志」が大切になる。
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- 椎橋 徹夫氏 株式会社 Laboro.AI 代表取締役CEO
テクノロジーとビジネスをつなぎ、イノベーションを共に実現するパートナーであることを信念とする株式会社Laboro.AI。設立以来、AI技術を活用し、多くのクライアント企業のビジネス課題解決を支援しています。
代表取締役CEOの椎橋徹夫氏は、世界的なコンサルタント企業でデータ解析などを使ったコンサルティング業務に携わった後、東京大学工学系研究科の松尾豊研究室で産学連携の仕事に従事し、スタートアップ企業の立ち上げにも関与。そのユニークな経験を生かしてLaboro.AIを起業しました。
過去の経験をふまえてLaboro.AIは何を目指すのか。AI技術によって日本の産業はどう変わるのか。「志を深め、従業員に共有してもらうことが経営者の役目」と語る椎橋氏に、お話をうかがいました。
(聞き手/井上和幸)
ビジネス分野で経験を積もうとボストンコンサルティンググループに入社
――Laboro.AIのCEOとして活躍されている椎橋さんですが、幼いころはどんな子どもだったのですか。
椎橋 子どものころから科学技術に興味があり、発明家にも憧れていました。実は獣医だった叔父が、小さなころにいつも算数の問題を出してくれたんです。うまく答えられると、次々に新たな問題を出してくれました。それで難問に挑んで答えを出すことが好きになったのかもしれません。
――大学も理系で物理学と数学を専攻されたとうかがっています。
椎橋 アメリカのテキサス大学で学びました。アメリカの大学は1、2年は文系も理系もなく、3年生のときに専攻を選ぶ仕組みになっています。当時は脳に興味があり、脳科学を学ぼうと思い、最初は心理学を専攻しようとしました。しかし、その後、生物学から化学へと関心が移り、最終的には物理学を選択。同時に数学も専攻しました。
――最初は大学を出たら研究者になろうと思われたそうですね。
椎橋 最初はそのつもりでしたが、途中で考えが変わりました。そのころは物質の性質を研究する物性物理を学んでいたのですが、むしろ社会や経済のような複雑系について、物理学や数学を使って解明したいという思いが高まりました。
そこで、社会物理学や経済物理学のような分野を志向したのですが、学際的な分野を扱っていても机上の空論に終わってしまうことが多いと知り、まずは社会に出てビジネスの分野で経験を積もうと考えました。アカデミアに戻るのは、それからで良いと考えたんです。
――その結果、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社されました。なぜコンサルティングの仕事につこうと...
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